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川瀬 武夫 教授

【略歴】
1975年
早稲田大学第一文学部卒業
1978年
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了
1981~1984年
フランス政府給費留学生として、
パリ第3大学博士課程在学
1985年
東京大学大学院人文科学研究科
博士課程単位取得満期退学
1985~1988年
早稲田大学文学部助手
1988~1991年
早稲田大学文学部専任講師
1991~1996年
早稲田大学文学部助教授
1996年~
早稲田大学文学部教授

──研究内容
フランス近代詩の「奥座敷」に鎮座するステファヌ・マラルメ。もう40年近くこの詩人のことを研究してきました。あまりに奇抜で難解だというので、ごく最近まで本国フランスでも「認知」されてこなかった詩人であり、その点では「国民詩人」のヴィクトル・ユゴーや、熱烈なファンの多いアルチュール・ランボーとはまったく違ったタイプの存在です。
ただ、詩的行為の根源を徹底的に問いつづけたという意味で最も「ラジカル」な文学者であったといってよく、その秘教的なわずかばかりの詩行は文学研究に携わる者の深甚な興味を惹きつけずにはおきません。日本では、私も翻訳・註解作業に参加した筑摩書房版『マラルメ全集』全5巻の完成により、この謎めいた詩人の全貌が世界に先がけて明らかにされましたが、まだ解明すべき問題は数多く残されています。

 

──主な著書・訳書・論文
【共訳書】
・『マラルメ全集』Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ、筑摩書房、1991年、1998年、2001年
・ドミニク・ボナ『黒い瞳のエロス―ベル・エポックの三姉妹』、筑摩書房、1993年
【評論・論文等】
・「マラルメと始源の言語」、『ユリイカ』1978年11月号
・「マラルメとアナーキズム」、『ユリイカ』1986年9月臨時増刊号
・“Mallarmé face à l’interrègne”, Études de Langue et Littérature Françaises, No.52, 1988
・「隠蔽されたペニュルティエーム―マラルメとブルトン」、『シュルレアリスムの射程──言語・無意識・複数性』、せりか書房、1998年
・“A Crisis before ‘the Crisis’: On Mallarmé’s ‘Les Fenêtres’, Mallarmé in the Twentieth Century, Fairleigh Dickinson University Press, 1998
・「広場と花火―マラルメと都市の祝祭をめぐる七つの変奏」、『現代詩手帖』、1999年5月号
・「大正期のネクロフィリア─萩原朔太郎とエドガー・ポー」、『比較文学年誌』第44号、2008年
・「マラルメ年譜」、『マラルメ全集』Ⅰ、筑摩書房、2010年

 

──専門以外に興味のあること
ひらすら非生産的なディレッタントとして、楽しいこと、気持ち良いこと、綺麗なもの、美味しいものを気ままに追い求めてきました。とりわけ絵画、音楽、オペラ、落語、温泉、日本酒、ワイン、フランス料理、エスニック料理など。
音楽なら17~18世紀の器楽・声楽を問わずいわゆるバロック期のもの、さもなくばワーグナー、ブルックナー、マーラーといった重厚長大型。落語なら志の輔、談春、志らくの立川流。柳家喬太郎も大好き。コンサートに月4回、落語会に月2回程度出かけます。
酒は毎日種類を変えて惜しみなくたっぷりと。つまみは手際よく自分で作ります。
また、10年くらい前までは毎年のようにフランスやイタリアを旅行していましたが(美術館とオペラが目当て)、なぜか最近はすっかり台湾にはまって、ほぼ半年おきに訪れています(こちらの目当ては屋台料理ですが、開放的な温泉もすばらしい)。
かように「実践」とはまるで縁のない人生を送ってきたのですが、せまりくる「老後」を見据え、一念発起して、なにを血迷ったのか2年前からチェロを習いはじめました(毎日1時間の練習と月2回の個人レッスン)。もうモーツァルトだろうがベートーヴェンだろうが、どんどん弾いてしまいます(笑)。残された人生の最後の目標は、バッハの無伴奏チェロ組曲に収められたいくつかの舞曲をきちんと演奏できるようになることです。

 

──学生へのメッセージ
やはり、日本語と英語以外に、大学で新しい言語(もちろんフランス語がいちばん)とじっくり馴染みになることをお薦めします。そうなれば世界が驚くほど拡がりますし、アメリカ・ローカルの狭量で粗暴な価値観にすぎない「グローバリズム」とやらから、少なくとも精神的には解放されます。
さらには、家族や友人、もしくはネット環境からできるだけ身を切り離して、自分ひとりきりの時間をふんだんに持てるように心がけてください。そのさい本や音楽があれば尚更いいです。大切な孤独の豊穣さを学び、上手なひとり遊びの技倆を身につけることができるのは大学生活をおいてありません。