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佐々木 匠 講師

【略歴】
2011年
早稲田大学大学院文学研究科修士課程
フランス語フランス文学コース修了
2017年
パリ第七大学博士課程修了
(テクストとイメージの歴史と記号学博士)
2018年
白鷗大学非常勤講師
2018年〜
東京工業大学非常勤講師
2019年~
早稲田大学文学学術院講師(任期付)

──研究内容
日本で最も親しまれているフランス小説のひとつ『異邦人』の著者アルベール・カミュを専門としています。カミュというと、「不条理」や「反抗」といった思想が比較的有名ですが、これまでの研究の主題に据えてきたのは、カミュ作品における「孤独」、そして「連帯」です。「孤独(solitude)」と「連帯(solidarité)」、あるいは、それぞれの形容詞である「孤独な(solitaire)」と「連帯の(solidaire)」。綴りが似ていて、並べて書くとどこか言葉あそびのようにも見えるこの二つの思想は、これまでの研究では、ときに当然のように、相反するものとして扱われてきました。博士論文では、両者の関係をとらえなおすべく、カミュ作品においては、孤独な個人が、その孤独を保ったまま、自分と同じように孤独な状況に置かれた他者とつながりを見いだすことこそが連帯であるということ、そして、そうした孤独と連帯の関係性がカミュの芸術観や創作活動、作品自体にも大きな影響を与えていることを論じました。

 

──主な著書・訳書・論文
【論文】
・「『月に吠える』における空白期──朔太郎と〈疾患〉──」、『解釈』、解釈学会、第52巻、第1・2号、2006年、9-14頁。
・「中原中也詩の〈死〉と〈不安〉の源泉」、『解釈』、解釈学会、第56巻、第1・2号、2009年、12-18頁。
・「現代の悲劇──アルベール・カミュ『ペスト』に関する一考察──」、『早稲田大学大学院 文学研究科紀要』、早稲田大学大学院文学研究科、第58輯、第2分冊、2013年、153-165頁。
・「語り合うことの不可能性──アルベール・カミュ作品における他者の存在──」、WASEDA RILAS JOURNAL、早稲田大学総合人文科学センター、第5号、2017年、135-144頁。
・「カミュの誕生──閉域と他者としての自分──」、『早稲田現代文芸研究』、早稲田文芸・ジャーナリズム学会、第8号、2018年、 58-69頁。
・« Le Rouge et le vert dans L’Étranger d’Albert Camus — sur l’unité de l’intention de couleurs — »[仏語論文] 、WASEDA RILAS JOURNAL、早稲田大学総合人文科学センター、第6号、2018年、157-163頁。
・「監獄と芸術と不条理──アルベール・カミュにおける語りの場──」、『日本フランス語フランス文学会関東支部論集』、日本フランス語フランス文学会関東支部会、第27号、2018年、33-44頁。
・「不条理から反抗へ──アルベール・カミュ作品における « nous » の出現──」、『早稲田大学大学院 文学研究科紀要』、早稲田大学大学院文学研究科、第64輯、2019年、303-311頁。
・『アルベール・カミュ作品における孤独と連帯』(2018年度フランス語フランス文学会春季大会での発表を論文にしたもの。現在準備中。)

 

──専門以外に興味のあること
元々それほど気が多くはないのですが、ここ数年は特に、精神的、あるいは、金銭的余裕のなさから、趣味と呼ぶことのできるものを少しずつ失ってきたように思います。とりわけ、留学のたびに北海道に荷物を送り、帰国後は部屋探しから再スタートというのを繰り返すうち、本と最低限のもの以外は極力持たなくなりました。そういう生活に慣れてしまったせいか、多くのことに興味を持てないことに今は焦りを感じていません。もしかすると研究者としては致命的な欠陥かもしれませんが。幸い、周りにはユニークな同僚や学生がたくさんいるので、時間やお金の許す限り、勧められたらとりあえず触れてみることにしています。
とはいえ、これで締めてしまうとあまりにさみしいので、これまでに興味を持っていたものをいくつか挙げておきます。今は全く弾けなくなりましたが、高校を出るまでピアノをやっていました。うまくはなかったと思います。でも、それなりに楽しくやっていました。いつか再び、気分転換に弾けるような環境に身を置きたいです。あと、これは東京でやる機会はなさそうですが、下の句がるたが好きでした。いわゆる百人一首なのですが、北海道では三人一組のチーム戦で、独特な文字が書かれた木のカルタを用い、下の句を読んで下の句の札を取るので、本州のそれとはかなりイメージが違います。それから、しばらく前は、食べたことのない異国の料理やお菓子を、レシピだけを頼りに作って食べてみるという、果たしてできたものが正解かどうかもわからない謎のチャレンジをしていましたが、どんどんぽっちゃりしてきて、ある日、「座っている後ろ姿がパンダみたい(性格は犬みたい)」という言葉をかけられてからは、それほど料理に凝っていません。
文学関連では、フランスのものに限らず、気になっている作家や作品を挙げるときりがありません。あえて専門から遠いものをひとつだけ挙げるなら、現在取り組んでいる翻訳の仕事に関連して、推理小説を少しずつ読んでいこうかなと考えています。小さい頃はシャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパンの全集を買ってもらって大はしゃぎだったのに、いつの間にか推理小説という分野そのものから離れてしまったので、とりあえずルメートルの作品を読むところから始めています。本当に、「えっ、あんな有名な作品も読んでいないの!?」というレベルですので、おすすめがあればぜひ教えてください。

 

──学生へのメッセージ
早稲田の学生を見ていると、多くの人が授業以外の場でも積極的に動いていることに感心します。ですが、学部生の頃は、周りの人と自分を比べてなんだか焦ってしまう時期でもあると思います。自分のペースでいいので、ゆったりかまえてください。脱線も、まわり道も、不毛だと感じられることも、いずれ全てを糧にできるのが文学部の強みです。学部を通して学びたいと思えることが見つけられたなら、そのときは思う存分打ち込んでください。フランス語フランス文学コースでは、皆さんが心から学びたいと思うたいていのことは(多少こじつけであってもフランスが関連していれば)卒論のテーマにできます、たぶん。ぜひ充実した学生生活を送ってください。