ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌
- ページ
- 152/230
このページは RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌 の電子ブックに掲載されている152ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌 の電子ブックに掲載されている152ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌
WASEDA RILAS JOURNAL図4どこのCD?図2 mashimaro図3カンボジアで見たmiashimaro一世を風靡し、東南アジアでも人気を博した。わたしはバンコクでこの兎のキャラクターグッズを手に入れたし、カンボジアで出会ったガイドの大学生のカバンの図柄もこれだった。(図3)すでに、東アジア各地で作品が製作され、双方向の流通が始まっているのだ。特に映像や音楽作品は、インターネットの発達によって、ほとんどリアルタイムで伝わり、受容される。今日放映された日本のアニメが、翌日に中国のサイトに字幕付きでアップロードされているのは、もはやふつうのことだ。そうした現象が見られるのは、アニメやマンガやゲームだけではない。例えばポップスもアジアの若者に共通の文化になっている。安室奈美恵や宇多田ヒカルが好きなアジアの若者は数えられないほどいる。この領域でも、享受の仕方は日本からの一方的な輸入ではない。例えば、わたしが持っている宇多田ヒカルのアルバム「first love」は中国の福建省で製作されたものだ(図4)。一方、女子十二樂坊(中国)やF4、飛輪海(台湾)、東方神起、少女時代(韓国)などアジア各地の歌手を、日本やその他の地域の若者が享受していることも周知のとおりだ。越境の現象は、テレビや映画ではもっと顕著だ。90年代前半に「東京ラブストーリー(東京愛情故事)」を始め、日本のテレビドラマがアジアで大人気だったことや、この数年「リング(七夜怪談)」など日本のホラー映画に人気が集まっていることは、よく知られている。近年「冬のソナタ(冬天奏鳴曲)」や「猟奇的な彼女(我的野蛮女友)」など韓国の作品が人気を博し、アジア各地で“韓流”ブームが起こっていることも、説明を要しまい。文化現象は、東アジアの諸都市でもうここまで共通しているのである。3.文学とサブカルチャーをめぐる状況こうした共通の文化現象は、文学の領域でも起こっている。しかも、作品の受容の仕方が、以前と異なることが特徴になっている。ライトノベルの流行がその一例である。ライトノベルという呼称は、日本で1990年頃から使われ始めた。主に十代の若者向けに、文庫や新書版で提供される、表紙やイラストにマンガを多用した小説のことをいう。内容は、SF、ファンタジー150