ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌
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RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌
WASEDA RILAS JOURNAL図10『執迷不悟』上海のやおい小説(同人創作)図8香港の「軽小説」『超凡学生4』図9シンガポールの「軽小説」Low Kayhwa『The Perfect Story』流である。(図8、図9)また、やおい小説、BL(ボーイズ・ラブ)と呼ばれる作品群も人気を博している。男子の同性愛を描いた小説で、女子が好んで読む。これも表紙やイラストにマンガが用いられることが多く、書店に大きなコーナーが設けられるほどファンがいる。台湾でも日本の作品のほか、現地で制作された作品があり、人気のほどは変わらない。中国や香港、シンガポールでは、商業ベースで制作される作品は少ないが、同人活動の一環として創作され、台湾や香港のファンと交流が進んでいる。(図10)日本では、2000年以降ケータイ文学も盛んになった。会費を払って会員になれば、小説などを携帯電話に配信してくれるシステムである。新聞報道によれば、大手出版社を含めてすでに数社が参入し、中には「新潮ケータイ文庫」のように三万五千人に及ぶ有料会員を抱えているサイトもあるという(朝日新聞2004年12月1日、文化総合欄)。映画化もされ、100万部を売った『恋空』(美嘉著、魔法のiらんど、2005年。単行本は、スターツ出版、2006年)などのヒット作がいくつも生まれている。また、インターネットでも、BBS(電子掲示板)への書き込みをまとめた『電車男』(中野独人著、新潮社、2004年)のようなベストセラーが生まれている。中国など、携帯電話の通信方式が日本と異なる他のアジアの地域では、まだケータイ文学の数は少ないが、日本でヒットした作品は、単行本や映画で読者に親しまれ、人気を博している。東アジアの諸都市(特に中国の都市)では、ケータイ文学が発達していないかわりに、インターネット文学(「網絡文学」)が日本と比較にならないほど盛んだ。インターネットのサイトに作品を投稿し、掲載されたものを読者が読む形式が多い。例えば、中国では「百度捜索」を検索するだけで、104万件もの文学サイトがヒットする。「榕樹下」(http://www.rongshuxia.com/)や「晋江文学城」(http://www.jjwxc.net/)といった何万件もの投稿がある大きなサイトもあって、そこで人気を博して専業作家になる者も出ている。安?宝貝(アニーベイビー)、黒可可(ブラックココア)などがそうだ。彼らの作品は単行本として次々に出版されており、マンガ版が出ているものもある。152