ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

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概要

RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

WASEDA RILAS JOURNAL NO. 1 (2013.「WASEDA 10)RILAS JOURNAL」の創刊にあたって早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌「WASEDA RILAS JOURNAL」の創刊にあたって総合人文科学研究センター所長海老澤衷早稲田大学の文学部が百有余年の伝統を有するのに対して、総合人文学研究センターは誕生後一年半を経過したばかりの若い組織である。文学部は、戦後の学制改革で第一文学部、第二文学部として新たなスタートを切り、ほぼ同時に大学院文学研究科が設けられて約50年を経過し、21世紀を迎えた。全国的に大学の組織改革が進められるなかで、2004年にこれらを統合する組織として文学学術院が発足し、2007年には学部組織が文化構想学部と文学部に改編された。大学院文学研究科は従来のコースに加えて、文化構想学部の論系を土台とした表象・メディア論コースや現代文芸コースが生まれている。このような一連の改革のなかで、2012年4月1日に文学学術院の共同研究を統合する組織として総合人文科学研究センターが発足した。学内での略称は「人文研」である。人文研には、研究所員として210名が所属し、人文社会学系の研究領域を広くカバーするものとなっているが、共同研究を効率良く運営するため「研究部門」と呼ばれる12の共同研究のグループが設けられている。今後、他大学の専任教員などに呼びかけて多数の招聘研究員を置くことを目指し、さらに雇用による研究員等を配置して、これら研究部門のさらなる活性化に向けて、現在努力中である。これらの研究者による研究発信を支えるのが研究誌『WASEDA RILAS JOURNAL』である。このウェッブ・ジャーナルには、査読制度を設けて若手研究者の優秀な論文を掲載することを一つの目的とするが、さらに人文社会学領域において学術的にスポットライトが当てられている問題を特集し、国際的な研究交流の促進を図りたい。創刊号の特集は、「危機と再生-グローバリズム・災害・伝統文化-」である。これは韓国の漢陽大学、中国の清華大学、南開大学、台湾の国立台湾大学および早稲田大学によって運営されている東アジア人文学フォーラムの第4回(主催校早稲田大学、2012年12月8日、9日開催)の共同テーマであり、この時にご報告いただいた内容を論文として掲載することができた。フォーラムでは4つのセッションを設けた。報告順に「災害1」・「伝統文化」「災害2」・「グロ-バリズム」がそれであるが、講演内容を御寄稿いただいた各氏に改めて御礼申しあげたい。先端的なテクノロジーの獲得によって、東アジアはかつてない経済成長を遂げ、世界的に見ても希有な工業化社会を達成しつつあり、「停滞的」といわれた農村社会から一躍人類が未だ経験していない都市化社会へと急速に向かいつつある。しかし、一方で自然災害による危機と国民国家の間に芽生えた対立によって克服すべき多くの課題が存在し、人文学・社会科学の研究分野においても叡智を結集してこれらに立ち向かっていくべきことが求められているのである。創刊号には、このような危機に立ち向かうわれわれの姿が示されているが、2012年9月の大きな危機の中で、作家村上春樹が提唱した「東アジア文化圏」がこれらの危機を救うものになるのか、この新しい文化圏とされるものが単なる虚構であるのか、今後『WASEDA RILAS JOURNAL』においても明らかにすべき課題となるであろう。1