ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌
- ページ
- 158/316
このページは RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌 の電子ブックに掲載されている158ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌 の電子ブックに掲載されている158ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌
WASEDA RILAS JOURNAL東アジアの現在の緊張を解きほぐすのは極めて難しいということだ。政府として、それぞれの立場を引くことは難しいだろう。たとえ対話が始められたとしても、根本的な解決を図るというより、玉虫色のいわゆる「戦略的な関係」を模索することになりかねない。それは、わたしたち庶民が考える「友好関係」とは程遠いものでしかない。しかし、わたしたち庶民が声をあげ、国境を越えた世論を形作ることができれば、それはそれぞれの政府が引く道を開くことにも繋がるだろう。今日、国民の声はそれだけの力を持っている。こういう話をすると、夢物語だと思われるかもしれない。わたしの中国や韓国の友人からもそうした意見が返ってくることが少なくない。だが、わたしはそうは思わない。すでに述べたように、わたしたちが生きているのは、大衆が一方的に動員されるだけの時代ではない。わたしたちは動員されるのと同時に、互いに動員することが可能な立場にいる。現に、サブカルチャーや村上春樹を愛好する若者たちの世界では、誰に動員されたわけでもないのに、国境を越えた共通の世界が広がっている。その現象は必ずしも積極的な意味を体現しているものではないかもしれない。だがそれは、歴史的、社会的、文化的な背景が異なっていても、わたしたちが互いに理解しあい、連帯できる可能性を示してもいる。もし「東アジア文化圏」が生まれつつあるとするなら、そしてそれに可能性を見いだそうとするなら、希望はそこに宿っているのではないだろうか。わたしはそれに賭けたいと思う。(王晶晶〈中日?系:村上春?拒劣酒, ? ?科?冰茶〉《中国青年?》より転用)?いずれも前掲の村上春樹の朝日新聞投稿?シンポジウム「東アジア文化圏と村上春樹」(早稲田大学井深記念講堂、2014年12月14日開催)の座談会における発言。?「村Q春樹」(『早稲田文学⑦』早稲田文学会、2014年1月)ただ、わたしは翻訳に関して論じるなら、先に述べた訳文の概括や指摘よりもっと重要なことがあると考えている。一つだけ例を挙げれば、「やがて僕はリュックを見つける。それは松の木の幹に立てかけてある」などの部分、いわゆる現在形の言い切りで終わっている箇所の翻訳である。一般に小説の地の文は、「~た」などの回想体で書かれるのが普通だ。「~る」で終わる村上春樹の書き方には明らかに作為が感じられる。そうした試みは『アフターダーク』では特に顕著だが、そのほかの各作品にも散見される。そこからは、彼がこうした表現にこだわりを持ち続けていることが伝わってくる。その試みに外国語の翻訳がどう対応しているか、あるいは対応できるのかといった点が、翻訳を通じて生まれる問題としてはより重要ではないだろうか。なぜなら、そのことが各言語による作品理解の本質的な相違に繋がる可能性があると思うからだ。(こうした翻訳の問題については別稿を用意しているので、そこで詳しく論じたい。)?上海では、回答者126名中40名(第6位)。北京では96名中30名(第3位タイ、ほかに同数が2項目)。台北では102名中47名(第4位)。香港では65名中6名(第8位)。シンガポールでは45名中4名(第8位)。?詳くは、千野拓政「東アジアにおけるサブカルチャーの変貌と若者の心」(RILASジャーナル1号、2013年)を参照。? 2005年大賞《淹没》、監督:焉雨,李一凡。2007年大賞《? ?》、監督:王兵。(本論文は、2013年12月14日に早稲田大学で行われた「人文学フォーラム:東アジア文化圏と村上春樹──越境する文学、危機の中の可能性」で行った口頭発表「東アジア文化圏とは何か?」をまとめたものです。「東アジア諸都市のサブカルチャー志向と若者の心」(千野拓政編『東アジアのサブカルチャーと若者のこころ』、勉誠出版、2012年所収の基調報告)に基づいて、大幅に加筆修正したことをお断りしておきます。)注?原文「“在任何国家,如果听不到理性的声音, ? ?会随? ?生,而普通人将会受苦。”“我痛苦地了解到作家和知?分子在? ?世界的微弱地位,但我? ? ,如果我?有任何用?的? , ?在是我? ?声的?候。”」《国?先? ? ? ?》156