ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

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概要

RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

68年後の村上春樹と東アジア図1名目GDP(USドル)の推移(1980~2013年)(日本,アメリカ,韓国,中国,台湾,ドイツ)http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPD&s=1980&e=2014&c1=JP&c2=US&c3=KR&c4=CN&c5=TW&c6=DE(「世界経済のネタ帳」により作成)でしょう。つまり、戦前の体制からどのように民主主義化が行われたかという一点に絞って三国を比較してみると、日本は戦後、いち早く四五年に民主主義化するが、これは米国主導、他律的なもので、六〇年の安保闘争をへて、自主的な民主改革はその後も果たされないまま現在にいたっています。韓国は、八〇年の光州事件以後、まがりなりにも全斗煥、金大中、盧泰愚、と三代の大統領の施政を経るなかで、自前の民主化を実現してきています。中国は、八九年の天安門事件の弾圧をへて、今なお大きな問題をはらんでいますが、それでも四九年の共産革命以来、自前での文化大革命、近代化の試練をくぐって、自力による問題解決の道半ばにある。台湾も、自力での民主化を実現し、また堅固な経済成長をも実現してきています。地勢学的に冷戦構造下で日本は他のアジア諸国の苦境をまぬかれ、政治的に恵まれた優位性を享受したのですが、反面、自力での民主化でいえば、韓国、台湾がそれを実現し、日本はそれを他力で実現したにすぎず、中国は、自力での独自の民主化への道を模索中、となるわけです。日本の民主化の他律性の「ツケ」がいま、戦後がいつまでも終わらないというかたちで、回ってきているのに対し、韓国、台湾、中国は少なくとも自力で、民主化への道をたどって、ここまできている。政治的にも、これらの国は、「横並び」だということがわかるのです。こうした新しい状況を前に、これは東アジア世界として、近代以降、有史以来、これまでになかったことだ、ということに、われわれは立ちどまって注目する必要があるのではないでしょうか。5東アジア世界の新しい姿(2)──東アジア圏の経済規模しかも、ここにもう一つ各国の名目GDPの世界におけるシェア率というものをあげることができます。総務省の『世界の統計2012』によれば、このシェア率は以下のようになっています。日本8.7%、中国9.1%、韓国1.6%、台湾0.7%、香港0.4%、つまり東アジア四カ国の合計で20.5%。アメリカ22.9%、EU二七カ国総計で25.7%という数と比べても、遜色のない数字であることがわかります。EU主要国五カ国、イギリス3.6%、フランス4.1%、ドイツ5.2%、イタリア3.3%、スペイン2.2%の合計が18.4%ですから、優にEU中核圏に匹敵する経済圏が、近年、東アジアに生まれているのです。残念ながら、一九八〇年当時の数字は手に入らなかったのでここにはありません。でも、こういう状況、つまり、東アジアの諸国が、同じ社会、経済、政治問題を共有し、横並びで関係しあい、しかもその地域としての経済規模が、アメリカ、EUに匹敵するまでに拡大し、確実に世界の平和と繁栄にとって一つの基礎的担い手に育ったという状況は、一九八〇年当時には存在していませんでした。近代以173