ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

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概要

RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

WASEDA RILAS JOURNAL棺が確認され、径24mの円墳である101号墳に4つの埋葬施設が確認されるなど、龍角寺古墳群の埋葬施設は強い地域性を示すため注意が必要だが、50号墳の埋葬施設の位置がすでに推定されている点は調査の際に重要である。また、甘粕による精度の高い測量図と分析成果(甘粕1964)もあるため、浅間山古墳との比較対象とするには最も適した古墳であると判断した。以上を踏まえ、今回の50号墳の調査では以下の4つの課題を設定した。①デジタル三次元測量・GPRという最新の調査方法で、50号墳の墳丘に関する客観的で正確な情報を取得する。②デジタル三次元測量の成果を踏まえ、GISを用いて50号墳の立体構造を明らかにする。③GPRの成果から墳丘の構造、及び埋葬施設の位置を推定する。④龍角寺浅間山古墳と墳丘構造の比較を行い、浅間山古墳の系譜を考究する。この4つの課題を設定した。本稿ではその調査・分析成果を報告する。なお、今回は50号墳の分析と浅間山古墳との比較を中心とし、群中のその他の前方後円墳、及び他地域の前方後円墳との比較についてはデジタル測量・GPRなどの基礎作業を進めた上で議論したいと思う。2.調査の体制と経過(城倉)調査体制は、以下の通りである。【対象】龍角寺50号墳【所在地】千葉県印旛郡栄町龍角寺字池下1601番外232筆【期間】2014年12月13日~27日:測量作業※GPR作業は、2015年2月23日~3月24日の龍角寺発掘(Ⅱ期3次)調査と並行して行った。【面積】約1920m 2 (タテ48m、ヨコ40m)【主体】早稲田大学文学部考古学コース【担当】城倉正祥(准教授)【指導】近藤二郎・高橋龍三郎・長崎潤一・寺崎秀一郎(教授)、田畑幸嗣(准教授)【学生代表】青笹基史(早稲田大学履修生)【参加者】山田綾乃・福岡佑斗・松永修平・渡辺玲(早稲田大学学生)、小野寺洋介(明治大学学生)、伝田郁夫(大田区教育委員会)※龍角寺の発掘(Ⅱ期3次)調査時に、50号墳のGPR作業に従事した学生は以下である。中村憲司・福岡佑斗・青笹基史・根本祐・石井友菜・井上早季・木村結香・小林和樹・呉心怡・谷川遼(早稲田大学学生)【協力者】荒井信司・喜多裕明(栄町教育委員会)、上守秀明・白井久美子・萩原恭一・渡辺修一(千葉県教育委員会)、折原繁・野口行雄(房総のむら)、ナワビ矢麻・今城未知(早稲田大学)、金田明大(奈良文化財研究所)、董新林(中国社会科学院考古研究所)、後藤健(鎌倉市教育委員会)【敬称略・所属は2014年3月当時】調査経過は、以下の通りである。【2014.12.13】機材搬入・宿舎整備・墳丘清掃。【12.14】墳丘清掃。墳丘周囲の3か所に落葉を集積する。野口氏(房総のむら)が現地確認。【12.15】世界測地系の測量。水準測量。【12.16】区内トラバース測量。【12.17】区内・墳丘トラバース測量と水準測量。墳丘の地区設定。【12.18】午前に水準測量。午後より測量(TSを用いた測距作業)開始。【12.19】測量作業(A区終了)。【12.20】測量作業。【12.21】測量作業(B区終了)。折原氏(房総のむら)が現地確認。宿舎で、ArcGISを用いた作図作業を開始。【12.22】測量作業(D区終了)。E区の座標に不具合を確認したため、取り直して修正終了。【12.23】測量作業(C区終了)。【12.24】測量作業(E区終了)。董氏(社会院)が現場を視察。博物館と周辺遺跡も見学。【12.25】測量作業。【12.26】測量作業(F区終了)。午後に機材撤収・宿舎清掃を行って、夜大学に帰着。【12.27】朝から再度、調査現場へ。A区の補足測量。芝山基地への機材の撤収。夜大学に帰着。※2014年12月に測量作業は終了したが、GPR作業が終了せず、2015年2~3月の龍角寺の発掘(Ⅱ期3次)調査と並行して補足作業を進めた。【2015.2.24】墳丘の清掃作業。GPR大地区を設定。【2.25】大地区のGPR作業を開始したところで、機械故障のトラブル(スウェーデンのMALA216