ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

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概要

RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

千葉県栄町龍角寺50号墳のデジタル三次元測量・GPR調査墳の再測量・GPR調査を行い、龍角寺古墳群の構造について議論を進めたい。その作業によって、龍角寺造営の歴史的背景を探る点が、大きな目標である。※本報告入稿直前に、(新納泉2015「誉田御廟山古墳の設計原理」『日本考古学』第39号)が刊行された。前方後円墳の設計原理に関する示唆の多い内容であり、今後参考に研究を進めたい。※本報告は、平成26年度公益財団法人髙梨学術奨励基金(若手研究助成)『龍角寺浅間山古墳の系譜に関する基礎的研究─龍角寺50号墳の三次元測量・レーダー調査を中心に─』(代表:城倉正祥)の研究成果である。註(1)「龍角寺古墳群」は、もともと「竜角寺古墳群」(昭和16年1月27日国指定)と呼称していたが、平成21年2月12日の追加指定・名称変更で「龍角寺古墳群」に改められた。本稿では、現在の正式な指定名称である「龍角寺古墳群」に統一する。(2) 50号墳の測量・GPR調査に際しては、文化庁、千葉県教育委員会(教文指令第810号)、および栄町教育委員会(栄教生第162号)より「史跡龍角寺古墳群・岩屋古墳」の現状変更に関する許可を得て作業を実施した。調査終了後には速やかに現状復旧を行い、終了報告書を千葉県と栄町に提出した。なお、GPRについては、早稲田大学と奈良文化財研究所の連携研究『デジタル技術・非破壊的手法を用いた文化財の多角的調査研究』(代表:城倉正祥・金田明大)に基づいて、共同で実施した。なお、デジタル測量の方法やGISの使用方法、浅間山古墳との比較などについては、今城未知氏(現総合研究大学院大学)に調査前にご教示いただいた。また、ArcGISの操作については、渡辺玲氏(早稲田大学大学院)の力に拠る部分が大きかった。(3)「基壇」とは、建造物の基礎となる土壇を意味する概念である。沼澤豊が指摘するように、古墳の墳丘構築の必然性から設けられたテラスが、埴輪などの外表施設や石室・石棺などの埋葬施設の設置を目的として幅広く設定される事例があることからしても、栃木県の事例は「基壇」というより、第1段と呼ぶべき性質の遺構である。「基壇」と呼び、上下段構造を分離させるよりも、「テラス幅に特異性のある墳丘」に関する立体的な構造把握が必要である。(4)考古学の測量には、①平板やTSを用いて等高線を追いかけて方眼紙に作図する方法、及び②TSや3Dスキャナーを用いて地表面の座標を不規則に収集しCADやGISの計算により等高線を描出する方法、の2種類がある。本稿では、(新納2011)の用語に従い、前者を「等高線測量」、後者を「デジタル測量」と呼び分ける。図表出典一覧図1栄町作成の都市計画図(1/2500)の16・17・19・20、(千葉県史料研究財団2002)のP5・図2、および栄町教育委員会喜多裕明氏が作成した内部資料をもとに作成。図2・3・4・5・6・7・8・13測量成果、およびArcGISの解析成果をもとに作成。図9・10・11測量成果、およびGPRSliceの解析成果をもとに作成。図12 (甘粕1964)のP179・第3図を改変して作成。図14測量・GPR成果、及び(千葉県史料研究財団2002)のP9・図3、P22・図8をもとに作成。表1測量成果をもとに作成。引用文献甘粕健1964「前方後円墳の性格に関する一考察」『日本考古学の諸問題』河出書房新社甘粕健1965「前方後円墳の研究-その形態と尺度について-」『東京大学東洋文化研究所紀要』37石田広美1985「主要地方道成田安食線道路改良工事(住宅宅地関連事業)地内埋蔵文化財調査報告書」千葉県文化センター犬山市教育委員会2009『史跡東之宮古墳』犬山市埋蔵文化財調査報告書第6集大阪府立近つ飛鳥博物館2013『歴史発掘おおさか2012』平成24年度冬季特別展図録川尻秋生2003「大生直と印波国造」『古代東国史の基礎的研究』塙書房川尻秋生2009「古代房総の国造と在地─印波国造と武射国造を中心に─」『房総と古代王権』高志書院小林清隆1985『栄町大畑Ⅰ- 2遺跡─県単道路成田安食線埋蔵文化財調査報告書─』千葉県文化財センター桜井市立埋蔵文化財センター2014『HASHIHAKA』平成25年度特別展図録城倉正祥・久保田慎二・青木弘・金田明夫2012「千葉県芝山町高田2号墳の測量調査」『早稲田大学大学院文学237