ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

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概要

RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

WASEDA RILAS JOURNALしている点で問題があるが、日本の世界史教科書のバイアスを指摘する点では共感できる。(7)このような企画の一つとして、2015年3月4日に、「近世のキリスト教布教と東アジア」というシンポジウムを早稲田大学戸山キャンパスで開催する予定である。コーディネーター:甚野尚志、基調報告:Chen Hui-Hung(台湾、台湾大学), Bee Yun(韓国、成均館大学),日本側報告者:伊川健二、児嶋由枝、清水有子、牧野元紀、コメンテーター:平山篤子、根占献一。(8)この問題を考えるためには、今回の報告者の一人の武藤秀太郎氏の業績(「朝河貫一と胡適」『アジア研究』(59巻3・4号、2013年)、『近代日本の社会科学と東アジア』藤原書店、2009年)が示唆するところが多い。近代日本の世界史認識とそのイデオロギー性を考える上で、東洋史学の成立過程の分析は重要なテーマとなろう。その問題の背景には、エドワード・サイード『オリエンタリズム』(今沢紀子訳、平凡社、1993年)が指摘するように、18-19世紀にかけてのヨーロッパの帝国主義的な膨張がアジア、アフリカ地域への「オリエンタリズム」観念を生んだことがある。「文明化した西洋」対「停滞した東洋」の図式は、19世紀のヨーロッパの歴史家の意識にもあり、彼らにとり歴史とはヨーロッパ文明の発展の歴史にほかならない。近代日本の知識人はヨーロッパの進歩史観とともに、ヨーロッパの知識人の「オリエンタリズム」観念も受け入れ、東アジア認識に適用した。そこから日本の知識人の「脱亜論」や「中国停滞論」が生まれ、歴史学では伝統的な中国史に代わり「東洋史」の学問が誕生するといえる。244