ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

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概要

RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

WASEDA RILAS JOURNALついて、ざっと概観しておこう。現在、わが国は合計50の大学に「人文学部」が存在する(国立10校、公立1校、私立39校)が、戦前には「人文学部」は一つも存在しなかった。全国で一番古くから「人文学部」をもつ大学は――この点については、拙著に不備が見られる!――新潟大学で、学制改革に伴って1949年に設置された新制大学のなかに、最初から「人文学部」を置き、今日に至っている。1949年にはもう一校、東京都立大学のなかに「人文学部」が設立されたが、残念ながら「首都大学東京」への移行によって、2011年3月末をもってこの学部は半永久的に姿を消してしまった(1)。「人文学部」を擁する私立大学はすべて戦後にできた比較的新しい大学ばかりで、しかも人文学部が開設されるのは、ほぼ80年代後半から2000年代にかけてのことである。他方、早稲田・慶応・上智はもとより、MARCHと称される明治・青山・立教・中央などの老舗の有名私立大学にも、あるのはみな「文学部」である(資料1)。(資料1)人文学部を持つ日本の大学国公立(国立10校、公立1校)●弘前大学1965●新潟大学1949●信州大学1966●山形大学1967●静岡大学1965●山口大学1978●茨城大学1967●三重大学1983●宮崎公立大学1993●高知大学1977●富山大学1977私立(41校、廃止校を除くと39校)<北海道・東北>●札幌学院大学1977●札幌国際大学2003●北海学園大学1993●いわき明星大学1987<関東>●恵泉女学園大学1988?●敬和学園大学1991●駒沢女子大学1993●城西国際大学1992●聖学院大学1992●聖徳大学1990●東京家政大学2009●東京家政学院大学1988●東京成徳大学1993●東洋学園大学1992●新潟産業大学1994●武蔵大学1969●明星大学1965●目白大学1994●和洋女子大学1998<中部>●愛知文教大学2010●桜花学園大学1998●至学館大学1995(2013廃止)●中部大学1998●東海学園大学2000●南山大学2000<近畿>●京都精華大学1989●神戸学院大学1990●神戸山手大学1999●聖和大学1995(2013廃止)●相愛大学1984●帝塚山大学1999<中国・四国・九州>●広島修道大学1973●松山大学1974●松山東雲女子大学1992●九州ルーテル学院大学1997●西南女学院大学2001●長崎純心大学1994●福岡大学1969●福岡女学院大学1990●沖縄大学1999●沖縄キリスト教学院大学2004北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州のいわゆる旧帝大にあったのもすべて「文学部」であり、現在も上記の大学では学部名称は「文学部」のままであるが、1990年代以降の文部科学省の諸政策(e.g.大学院重点化政策)に対応して、こうした大学においても大きな変化が生じている。例えば、筆者の出身母胎である京都大学文学部では、哲・史・文という従来の3学科に加えて、1992年に「文化行動学科」なる第4学科が新設されたが、3年後の1995年にはさらに大講座化が実施され、いまや文学部は「人文学科」という1学科のなかに、5専攻(「文献文化学」(東洋系・西洋系)、「思想文化学」、「歴史文化学」、「行動文化学」、「現代文化学」)16大講座が存在する体制へと改組されている。ここで注目すべきは、哲学・歴史学・文学・文化行動学を含む全体が「人文学科」と呼ばれていることである(大阪大学も同様に、現在は「人文学科」1学科に移行している)。ちなみに、大学院の名称は、北海道大学、東北大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学とも「文学研究科」のままであるが、東京大学では「人文社会系研究科」、九州大学では「人文科学院」となっており、英語表記はそれぞれGraduate School of Humanities and Sociology、Graduate School of Humanitiesである。このように、「人文学」とかHumanitiesという名称が近年人口に膾炙しているが、この名称の中身についてどの程度掘り下げた分析がなされているのだろうか。拙著を執筆する際に、参照した書物は次の7冊である(資料2)。(資料2)人文学に関する書物1赤坂行雄『人文的「教養」とは何か―複雑系時代の人文学』246