ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

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概要

RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

現在、あらためて≪人文学≫を問う學藝書林、1998年赤坂行雄『人文学のプロレゴーメナ』風媒社、2000年南川高志編『知と学びのヨーロッパ史―人文学・人文主義の歴史的展開』ミネルヴァ書房、2007年服部良久・南川高志・小山哲・金澤周作編『人文学への接近法―西洋史を学ぶ』京都大学学術出版会、2010年広島大学大学院文学研究科編『改訂版人文学へのいざない』広島大学出版会、2013年エドワード・W・サイード、村山敏勝・三宅敦子訳『人文学と批評の使命―デモクラシーのために』岩波現代文庫、2013年西山雄二編『人文学と制度』未来社、2013年しかしCiNiiであらためて検索してみると、それ以外にも下記のものがある(資料3)。(資料3)人文学に関する書物2山田慶兒・阪上孝編『人文学のアナトミー―現代日本における学問の可能性』岩波書店、1995年舟川一彦『十九世紀オクスフォード―人文学の宿命』信山社、1999年共生倫理研究会編『共生の人文学―グローバル時代と多様な文化』昭和堂、2008年齋藤晃編『テクストと人文学―知の土台を解剖する』人文書院、2009年栗原隆編『人文学の生まれるところ』東北大学出版会、2009年大阪大学グローバルCOEプログラム編『コンフリクトの人文学』大阪大学出版会、2009年愛媛大学法文学部・新潟大学人文学部編『人文学の現在(いま)』創風社出版、2012年マーサ・C・タスバウム、小沢自然・小野正嗣訳『経済成長がすべてか?―デモクラシーが人文学を必要とする理由』岩波書店、2013年漢字文献情報処理研究会編『人文学と著作権問題』好文出版、2014年西山雄二編『カタストロフィと人文学』勁草書房、2014年「人文」とか「人文科学」という名称に拡大すれば、その数はさらに増える。例えば、筆者の書架にあるものに限定しても、以下のタイトルを挙げることができる(資料4)。(資料4)人文科学および人文書に関する書物の一例淡野安太郎編『人文科学の名著』毎日新聞社、1971年E・カッシーラー、中村正雄訳『人文科学の論理』創文社、1975年人文会20周年記念委員会編『人文科学の現在―人文書の潮流と基本文献』人文会、1988年人文会25周年記念委員会編『人文書のすすめ』人文会、1993年唐沢かおり・林徹編『人文知1―心と言葉の迷宮』東京大学出版会、2014年秋山聰・野崎歓編『人文知2―死者との対話』東京大学出版会、2014年熊野純彦・佐藤健二編『人文知3―境界と交流』東京大学出版会、2014年これらすべてに目を通しているわけではないので、ハッキリしたことはいえないが、近年「人文学」を再検証する動きはかなり顕著である。しかし筆者の印象では、「人文学」と「人文科学」は一般にあまり区別されていない。実際、『広辞苑』第6版の説明では、「人文科学」にhumanitiesという英語が充てられており、「人文科学」と「人文学」が同義であると見なされている。しかしはたしてそうであろうか。筆者自身は、両者は密接な関係にあるものの、やはり区別されるべきだと考える。一言でいえば、「人文学」は本来的にはlearningであり、「人文科学」は文字通りscienceである(2)。この二つを安易に同一視してしまうところに、「人文学」をめぐる議論の混乱の一因があるように思う。いずれにせよ、「人文学」の概念については、一度これを概念史的にしっかり洗い直す作業が必要である。「人文学の終焉」?ところで、筆者は拙著『人文学概論』の議論を、「『人文学の終焉』からのスタート」という少々どぎつい章題のもとに、ペーター・スローターダイクの問題提起から始めた。スローターダイクは『「人間園」の規則―ハイデッガーの『ヒューマニズム書簡』に対する返書』という書物において、人文主義への死亡宣告を行っているからである。彼によれば、「人文主義の本質と機能」は、「書物(エクリチュール)という媒体(メディア)を通じて友愛を生み出す遠隔情報伝達(テレコミュニケーション)」にある。人文主義は若者たちに古典作家の書物を押しつけ、現代とは時代を隔てた過去のテクストの読解を通じ247