ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌
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RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌
一中国文学者からのコメントの文化システムが始まって以来の、大きな変化が進行しているのではないかと思います。その渦中にいるわたしたちに全貌は見えません。しかしその端緒や予兆は、すでに誰もが感じ取っているのではないでしょうか。だとすれば、今日の《人文学》の危機の根本は、これまで文化システムの考察に力を発揮してきた《人文学》(あるいは《人文科学》)が、その有効性を失いつつあることにあるのかもしれません。それは、《人文学》の原点に立ち帰るだけでは、わたしたちの研究が今日の世界を捉えられない可能性を示唆しています。では、新たな文化システムに対応する《人文学》はどのような姿をしているのでしょうか。これまでのシステムの中にいる者に、その姿を描くことは至難の業です。今日の《人文学》のアポリアは、そうしたところにあるのかもしれません。わたしたちは果たしてどこへ行こうとしているのでしょうか。魯迅は、この世にもともと道はない、歩く人が多くなれば、それが道になるのだ、と言いました。新しい人文学に到る道は、わたしたちが荒野に踏み出した後に、かろうじて生まれてくるのかもしれません。(文章の一部に、拙著「森を行くものよ、松明をともせ――近代、「光の射さぬ森」の歩き方」(『接続』第5号、ひつじ書房、2005年)と重複する部分があることをお断りしておきます。)285