ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

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概要

RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

WASEDA RILAS JOURNALている仏画でこれをよく確認することができる。韓国の曼荼羅は、『華厳経』による華嚴密敎に基づいた「華厳曼茶羅」という特徴を持っている。日本の曼荼羅が『大日経』等の純粋な密教経典に基づいていることとは異なる。韓国仏教は、華厳曼荼羅の信仰体系によって様々な信仰様相を展開させたのである。更に様々な信仰様相に通じる信仰の原理を知っていた。言うならば、仏教の大衆化と共に宗派仏教の展開が可能であって、また実際にこのような様相が展開されたのである。9世紀の新羅下代以後の五教九山や禅教両宗等の様々な宗派が活動していた。しかし、この宗派は日本仏教の宗派仏教とは異なる。韓国の宗派は、学派という意味が強く、その差異は教理の理解の差異、乃至は修行方法上の差異を表したことに過ぎないためである。今日の韓国仏教は、歴史的に4世紀以後に模倣仏教→理論仏教→文化仏教→実践仏教という段階を経て今日にまでその力量を蓄積してきた。その一方で、空間的に見れば、遠くは印度・中央アジア等と、近くは中国・日本等と絶え間なく文化交流をしながら、仏教についての理解の幅を広げてきた。このような事実は、仏教が伝来した国であれば各々その事情を異にすることだと思われるが、結局のところ仏教に関する幅広い理解や対応の仕方の拡大だったと考えられる。それは、仏教思想の核心である縁起法が知らないうちに働いた結果だと信じられ、その結果、仏教の社会的教化機能を拡大してきたことだと考えられる。21世紀を迎える今日の時点では、今まで国ごとに各々独自的に仏教の社会的な教化機能を果たしてきたことを、これからは国際化・世界化という時代に相応しい世界的な教化機能へと拡充しなければならない。そのためには、宗派仏教的な性格から脱皮して総合的・普遍的な仏教思想に基づいた教化的機能を存分に発揮しなければならない。このような点で韓国と中国、日本の東アジア三国の緊密な紐帯と協力、そして未来志向的な関係のための様々な論議とその場が広げられることを期待する。306