ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

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概要

RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

WASEDA RILAS JOURNAL図2シヴァ派の教義体系における主宰神論精神性=*最高神シヴァサダーシヴァ主宰神(マーヤー:三属性)有形相に該当ブラフマー神(マーヤーの激質)ヴィシュヌ神(マーヤーの純質)ルドラ神(マーヤーの暗質)的条件の有無に従って,無形相な一者或いはサダーシヴァと,有形相な一者(ヴォーパデーヴァとシヴァ派の教義体系それぞれにおいてプルシャと主宰神と呼ばれる)とに分けられる.更に,その有形相な一者が,自身の限定的条件であるマーヤーにある三属性の違いによって,ブラフマー,ヴィシュヌ,ルドラ(シヴァ)という有形相な姿を取るとされる.また,図1と図2では,それぞれ精神性と無形相な一者,また精神性とサダーシヴァを分けて記しているが,何らの制約も受けない精神性こそが無形相な一者或いはサダーシヴァなので,実質的には分ける必要はない.以上のような?PPの記述を前提としてText 2を見ると,ここではヴォーパデーヴァとシヴァ派の教義体系における有形相な姿を取った最高神の教理を,サンカルシャナという神格の下に統合しようという意図が見られる.ブラフマー,ヴィシュヌ,ルドラ(シヴァ),プルシャ或いは主宰神は全て,ヴィユーハ説におけるサンカルシャナという神格の姿なのである.ところで,ヴォーパデーヴァとシヴァ派の教義体系における有形相な姿を取る最高神の教理は,アドヴァイタ教学における主宰神観と一致するものであった(21) .また,Text 2でサンカルシャナの特徴として述べられている,マーヤーを限定的条件とし,未発現者をあり方とし,一切の種子と呼ばれることは,アドヴァイタ教学においては主宰神の特徴である(22) .以上のことに鑑みると以下のことが言えよう.即ち,マドゥスーダナは,パンチャラートラ派のヴィユーハ説におけるサンカルシャナをアドヴァイタ教学化し,アドヴァイタ教学における主宰神と同一視した.そしてそのことによって,アドヴァイタ教学における主宰神の下に,サンカルシャナや,ヴォーパデーヴァのヴィシュヌ派説とシヴァ派の教義体系とにおける有形相な姿を取る最高神を統合したのである.3. ??varapratipattiprak??aにおけるヴァースデーヴァとアドヴァイタ教学における目撃者続いて,ヴィユーハ説における最上位の神格であるヴァースデーヴァに関するマドゥスーダナの解説の検討に入りたい.Text 2におけるサンカルシャナの解説に続いて以下の様に述べられている.Text 3 ?PP 8, 3f.:sarvop?dhivinirmuktas tv avikalpo v?sudeva?param?tm? mok??valambanam. sa eva sad??ivonir?k?ra? ca.一方,一切の限定的条件から解放された最高のアートマンが[NUTUpで説かれる]無分別(avikalpa)であり,ヴァースデーヴァであり,解脱の拠り所である.彼こそがサダーシヴァであり,無形相な者である.一切の限定的条件から解放された最高のアートマンが,NUTUpで説かれている「無分別」であり,またヴァースデーヴァである,というのである.更に,そのヴァースデーヴァは解脱の拠り所とされている.また,ヴォーパデーヴァやシヴァ派の教義体系における無形相な一者やサダーシヴァがこのヴァースデーヴァである,と述べられているが,無形相な一者やサダーシヴァも限定的条件を有しないものである(23)ので,この対応は当然と言えよう.即ち,32