ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

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概要

RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

WASEDA RILAS JOURNALドゥスーダナのSBとPPに見られるものと一致する点が挙げられる.更に,マドゥスーダナに影響を与えたと考えられ,アドヴァイタ学派においてはほとんどマドゥスーダナの著作においてのみ言及されるヴォーパデーヴァに対する記述が見られる点も挙げられる.また,たとえマドゥスーダナの真作ではなかったとしても,?PP作者はマドゥスーダナとかなり近似した思想の持ち主であったと考えられる.その意味で,?PPはマドゥスーダナ派の著作と呼び得ると考える.その場合,本稿の考察は,マドゥスーダナ派の思想を扱ったものとして読み換えていただければ幸いである.(4)眞鍋[f.]を参照.(5)?PPに紹介されるヴォーパデーヴァ説やシヴァ派の教学は,既にアドヴァイタ教学化された形で?PPに登場している.その点に関しては眞鍋[f.]を参照.本稿では,その既にアドヴァイタ教学化されているヴォーパデーヴァ説とシヴァ派の教学が,更にアドヴァイタ教学化されたヴィユーハ説の中に統合され,位置づけられていることを明らかにする.(6)眞鍋[f.]参照.(7)See ?PP 7, 17f.: n?si?hat?pan?ye tu caturdh? vibh?gaukta? -“oto’nujn?t?nujn?vikalpa?”iti(しかし,『ヌリシンハ[・ウッタラ]・ターパニーヤ[・ウパニシャッド]』には[主宰神の]四様の区分が説かれている.「羅織であり,認可者であり,認可であり,無分別である」と).NUTUpには以下の様に説かれている.See NUTUp 106,3-107, 1: m?tr?bhir ot?nujn?tranujn?vikalpar?pa? cintayangrasen([聖音オームのア,ウ,ム,半音量(ardham?tra)という]諸音量によって,羅織,認可者,認可,無分別をあり方とするものを観想して,[それを]呑み込むべし)etc.また,NUTUpには以下のような四状態も説かれている.See NUTUp 92, 6f.: bhavati ca sarve?u pade?ucatur?tm? sth?las?k?mab?jas?k?ibhi?(全ての句に,粗大なもの,微細なもの,種子,目撃者[という違い]によって,四つのアートマンがある)etc.(8)ヴィユーハ説の詳細に関しては松原[1990], [1996]等参照.(9)筆者は,ヴィユーハ説はシャンカラによって批判されていること,またマドゥスーダナもパンチャラートラ派の説くヴィユーハ説は批判していること,アドヴァイタ教学と矛盾しない限りにおいてマドゥスーダナはヴィユーハ説を採り入れていることを眞鍋[2014]において論じた.(10)五分結合した元素は粗大な元素とも言われ,地,水,火,風,虚空の五粗大元素が挙げられる.それらはいずれも,五分結合していない地,水,火,風,虚空の五微細元素から構成される.例えば地の粗大元素であれば,その半分が五分結合していない地の微細元素で構成され,残りの半分がそれぞれ水,火,風,虚空という四つの微細元素から構成される.従って,粗大元素は五つの微細元素全てから構成されていることとなる.そのため五分結合(panc?k?ta)と呼ばれている.同様に他の粗大元素も,何れも地,水,火,風,虚空の五微細元素を有する.個々の粗大元素は,それらのうちの主要な要素の名で呼ばれるのである.金倉[1976] p. 209と中村[1996] p. 252, fn. (1)とを参照.(11)ヴィラージュとは,ヴェーダ聖典において最高原理とされるものの一つである.また,Manusm?tiにおいては,ブラフマーの息子であり,人類の祖マヌの父とされる.渡瀬[2013] p. 25参照.(12)しかし,PK等では,ヴィラージュやヒラニヤガルバはアートマンの身体と言われている.See PK 1, 11-2, 2:panc?k?tapancamah?bh?t?ni tatk?rya? ca sarva? vir?? ity ucyate.etat sth?la?ar?ram ?tmana?.…apanc?k?tapancamah?bh?t?nipancatanm?tr??i tatk?rya? ca panca pr????,da?endriy??i mano buddhi? ceti saptada?aka? li?ga? bhautika?hira?yagarbha ity ucyate. etat s?k?ma?ar?ram ?tmana?(五分結合した五大元素とその結果である全てのものは,ヴィラージュと言われる.これはアートマンの粗大な身体(sth?la?ar?ra)である.……五分結合していない五大元素である五唯と,その結果である,五つの息・十の器官・思考器官・統覚という元素所造(bhautika)の十七からなる微細身(li?ga)は,ヒラニヤガルバと言われる.これはアートマンの微細な身体(s?k?ma?ar?ra)である);PPr131, 5-9: apanc?k?tapancamah?bh?t?ni tatk?rya? casaptada?aka? li?ga? hira?yagarbha?, etat s?k?ma?ar?ram?tmana?.…et?ni panc?k?tamah?bh?t?ni tatk?rya? cabrahm???a? pr??in?? sth?la?ar?raj?ta? ca sarva? vir?? ityucyate. etat sth?la?ar?ram ?tmana?(五分結合していない五大元素と,その結果である十七からなる微細身はヒラニヤガルバであり,これはアートマンの微細な身体である.……これらの五分結合した[五]大元素と,その結果である梵卵と粗大な身体から生じた生類との全ては,ヴィラージュと言われる.これはアートマンの粗大な身体である).ヴィラージュやヒラニヤガルバがアートマンの身体である,ということは,アートマンがヴィラージュやヒラニヤガルバの内部に存在することと考えられる.その視点から言うと,アートマンはヴィラージュやヒラニ36