ブックタイトルRILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

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概要

RILAS 早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌

『和歌一字抄』の注記をめぐって―注記を付す意図―(17)518良山集30打聞仙集37哥合45良102323373468494509上科抄113上114上々133玄々集158河原院歌合260510河原院会522堀河院中宮哥合306〔左注を含む複数首包括型の注記〕已上御堂歌合137已上御堂三十講哥合138皇嘉門院立后後始会153已上三首同座348以上同座401已上俊綱会448已上五首俊綱会520〔その他〕関白殿蔵人所哥合年号可尋219金於朱雀院詠之222七月七日詠之431以上のように、出典注記は『後拾遺集』『金葉集』が突出して多く、私家集は見えない。一方で散逸私撰集「良暹打聞」「良」「上科」「上」等の注記が存していることは既述のとおりである。また歌会・歌合の注記や、「七月七日詠之」といった詠作事情に関する注記も存在する。歌会の「已上」の部分は諸本で異同・書式の変更が大きい部分ではあるが、特に歌会に関しては証本の現存が確認できず、他出も確認できない。統一した基準で付されていないことは明白だが、注記の一部は信頼できる出典を示している。内閣文庁蔵本の本文で示す。遠草漸滋堀川院中宮哥合無名しかふへそなりもゆく哉きゝす鳴かたのゝみのゝ萩のやけはら(三〇六)この歌では「堀川院中宮歌合」が出典として記載されている。当該歌は『廿巻本類聚歌合』断簡に「中宮歌合嘉保三年三月廿三日於侍所合之」として証本が現存する。『夫木抄』にも取られており、同じ機会の歌とみられる歌がもう二例見られる。嘉保三年三月堀河院中宮詩歌合、草漸滋読人不知したふかくなりもゆくかな雉子啼くかた野のみのの荻のやけはら(夫木抄・六一三)嘉保三年三月堀河院中宮詩歌合、旅宿暁鶯同明けぬとていそぎ立田の山路にはうぐひすの音やせきの関守(夫木抄・三五七)『歌合大成』では「永長元年三月廿三日中宮篤子内親王家侍所歌合」〔二三三〕として詩歌合ではないと考証している。おそらくその通りかと思われるが、廿巻本歌合以外の証本がない歌合資料の注を付している点、注意されよう。次の例は内閣文庫蔵本独自の注記である。山路露深良師俊夕きりにあさの衣てそほちつゝ冬木こりつむをのゝ山人(四九四)この歌の他出も『夫木抄』に確認できる。家集、良玉大納言師俊卿夕露にあさのさごろもそほちつつ冬木こりおくをのの山人(夫木抄・八二六四)このように『夫木抄』と『和歌一字抄』の出典注記が共通する。もちろん、それぞれの伝本の問題もあって全て諸本が該当するわけではないが、両書の