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和英バイリンガル出版企画第二弾
ハルオ・シラネ/兼築信行/田渕句美子/陣野英則編
『世界へひらく和歌 Waka Opening Up to the World――言語・共同体・ジェンダー Language, Community, and Gender』

書誌


定価:3360円
判型・製本:A5判・並製 424 頁
ISBN:978-4-585-29034-6
Cコード:C1095
刊行年月:2012年5月21日
発行:勉誠出版
キーワード: 中世, 中古, 古典, 和歌, 文化史, 比較文学, 漢文, 近世

紹介

「和歌」とは何か―

「やまとことば」による表現のかたちとして、日本の語彙・言語表現に大きな影響を与えてきた和歌。それらは、身分・性差を超えて私的な感情が詠まれているだけでなく、社会・政治・宗教の場において用いられることで、権力を強化する機能をも果たした。
また、テクストとして、あるいは「家の学」として後世に伝えられ、コード化・カノン化された和歌は、共同体を強固なものとする紐帯として作用した。
そのようにして共有された「知」は、時に絵画や工芸品などの中に昇華され、精神文化と物質文化が相互に高め合う新たな享受のあり方を生み出していった。
日本文化を捉えるために欠かすことの出来ない和歌文化の重層的・多義的なあり方を、和歌文学研究の到達点よりわかりやすく解説、さらには和歌が世界文学の重要な要素たりうることを明らかにする。

日英バイリンガル版で知る日本文化・比較文化研究の最前線。

【関連HP】

勉誠出版

 

目次

日本語訳(Japanese Version)


ハルオ・シラネ 序

総論
ハルオ・シラネ 和歌―言語・共同体・ジェンダー

第1部 世界文学としての和歌

ヴィーブケ・デーネーケ 和歌と漢詩―古代ローマからの鳥瞰

王淑英 和歌と韓国の詩歌

第2部 和歌とジェンダー

田渕句美子 宮廷歌壇における女性歌人

近藤みゆき 和歌表現とジェンダー

後藤祥子 女流による男歌―式子内親王歌への一視点―

第3部 共同体とカノン

谷知子 天皇の和歌―聖婚・戦争・理世撫民―

高松寿夫 和歌の機能―草創期から確立期まで―

陣野英則 『源氏物語』の作中和歌―歌を詠まない人物に注目して―

小林一彦 「歌の家」の力―冷泉家を中心に―

内藤明 和歌・短歌と「共同体」

第4部 言語と詩学

渡部泰明 和歌のレトリック

浅田徹 歌論の言説―「やまとうたは、人の心を種として」―

海野圭介 「読み」の歴史―中世における古今和歌集の読み解きをめぐって―

ルイス・クック 和歌と注釈

第5部 物質文化とメディア

佐々木孝浩 和歌と巻子装

兼築信行 和歌とメディア―古筆切、懐紙、短冊―

鈴木健一 江戸時代の物質文化と和歌


英語版(English Version)


Haruo SHIRANE Preface

INTRODUCTION

Haruo SHIRANE Waka: Language, Community, and Gender

WAKA AS WORLD LITERATURE

Wiebke DENECKE Japan’s Vernacular and Sino-Japanese Poetry: A Bird’s Eye View from

Ancient Rome

Sook Young WANG Waka and Korean Poetry

WAKA AND GENDER

TABUCHI Kumiko Women Poets in Court Poetry Salons

KONDŌ Miyuki Waka Expression and Gender

GOTŌ Shōko Men’s Poems by Women Poets: One Perspective on a Poem by Princess Shikishi

COMMUNITY AND CANON

TANI Tomoko Imperial Waka: Sacred Matrimony, War, and Riseibumin

TAKAMATSU Hisao Early Functions of Waka

JINNO Hidenori Waka in The Tale of Genj: Characters Who Do Not Compose Waka

KOBAYASHI Kazuhiko Reizei and the Power of the Poetic House

NAITŌ Akira Waka, Tanka, and Community

LANGUAGE AND POETICS

WATANABE Yasuaki The Rhetoric of Waka

ASADA Tōru The Discourse of Poetic Theory:“Japanese Poetry Takes the Human Heart as Seed”

UNNO Keisuike A History of Reading:Medieval Interpretations of the Kokin wakashū
Lewis COOK Waka and Commentary

MATERIAL CULTURE AND MEDIA

SASAKI Takahiro Waka and Scroll-Binding

KANECHIKU Nobuyuki Waka and Media: Kohitsugire, Kaishi, and Tanzaku

SUZUKI Ken’ichi Material Culture and Waka in the Edo Period

*本書は日英バイリンガル版となっています。

編著者プロフィール

ハルオ・シラネ 
コロンビア大学教授。専門は日本文学・比較文学。 
主要著書に、“Japan and the Culture of the Four Seasons: Nature, Literature, and the Arts”(Columbia Univ Press, 2012)。

兼築信行(かねちく・のぶゆき) 
早稲田大学文学学術院教授。専門は日本古典文学(和歌)。 
主要著書に、『和歌を歴史から読む』(共編著、笠間書院、2002)。

田渕句美子(たぶち・くみこ) 
早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専門は日本中世文学。 
主要著書に、『中世初期歌人の研究』(笠間書院、2001)。

陣野英則(じんの・ひでのり) 
早稲田大学文学学術院教授。専門は日本中古文学。 
主要著書に、『源氏物語の話声と表現世界』(勉誠出版、2004)。