早稲田大学の美術史コースは、全国の大学におかれた美術史研究室の中でも、もっとも古い歴史をもつもののひとつで、専任教員7名(教員紹介)を擁する規模は日本最大と言っても過言ではありません。卒業生も、国内外の各地の美術館/博物館の学芸員、研究職、評論家、ジャーナリズム等において多数活躍しています。卒論では各自が希望する専門分野を選びますが、授業は日本・東洋・西洋美術の3分野を均等に行います。作品に対する基本的知識を身につけた上で、卒論の対象を決めることになっています。アート・マネージメント、アート・プロデュースについても学びます。
コース行事として、2年次の秋に美術館見学(日帰り)、3年次の6月に奈良研修旅行(4泊5日)を行います。奈良研修旅行では、興福寺、東大寺、唐招提寺、法隆寺、薬師寺等々の寺社で実際に仏像を前にして、説明や議論を行います(詳細は各学年について)。
かつて美術史といえば、作品や時代のスタイルを分析する「様式論」、テーマやその意味・内容を考察する「図像学(イコノグラフィー)」の2本柱で研究が進められてきました。しかし近年では、歴史学はもとより宗教学や文化人類学、社会学や考古学などの周辺諸学の学術的な成果を積極的に導入しつつ、新たな広がりと深まりを見せています。また広告やデザイン、写真やアニメは当然のこと、漫画や落書きまでも美術史の射程に収めており、授業では伝統的なディシプリンを習得する一方で、先端的な題材や現代美術の趨勢にも目を向け、つねに「生きる学問」としての美術史を目標に掲げています。