早稲田大学美術史学会賞

一、「早稲田大学美術史学会賞」は、本学会に属する若手研究者の優秀な論文に対して授与する。
二、 選考対象となる論文は前年度(四月~翌年三月)に公表された美術史学の研究論文で、当該年度四月十五日までに会員の推薦を経て学会本部に届けられたものとする。ただし、掲載誌の発行時期やその他によっては年度を限定しないこともある。
三、選考は本学会編集委員があたる。
四、本賞は原則として各年度若干名に対し授与されるが、当該年度に該当者がいない場合にはあえて受賞者を決定しない。
五、受賞者の発表は毎年総会において行われ、受賞者には副賞として若干の賞金が与えられる。なお本賞は故小杉一雄名誉教授の寄附金をもって一九八九年度より実施し、その後のさまざまな寄附金をもって運営を行う。

第三十五回受賞者(2024年6月22日授与)

受賞者 論文 発表誌
瀧野 彩子氏 「長沢芦雪筆《黒白図屏風》の儒学的構想」 『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第69輯
名原 宏明氏 「グラナダ大聖堂所蔵アロンソ・カーノ作《無原罪の御宿り》の聖母像―譜面台との関連性ー」 『美術史』196

 

第三十四回受賞者(2023年6月17日授与)

受賞者 論文 発表誌
稲葉 秀朗氏 「安陽霊泉寺塔林の墓塔龕にあらわされた仏僧の遺影の考察」 『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第67輯

第三十三回受賞者(2022年7月9日授与)

受賞者 論文 発表誌
龔楊 飄飄氏 「Beyond the Classroom: The Naoxue Theme in Late-Ming and Qing Paintings, Illustrations, and Prints」 『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第67輯
馬 歌陽氏 「四川成都出土の天王像の鎧について―下同仁路出土像を中心に―」 『仏教芸術』第7号
太田 英伶奈氏      「A Fig Tree with an Axe Put at its Root : Eschatological Representation in a Byzantine Psalter (cod. Dionysiou 65) 」 邦題「斧を置かれた無花果の木 : ビザンティン詩篇写本(ディオニシウ65番)における終末観の表現」 『地中海学研究』vol.44

第三十二回受賞者(令和三年六月二十六日授与)

受賞者 論文 発表誌
神野 祐太氏 「相模川流域の仏像」 『相模川流域のみほとけ』図録、神奈川県立歴史博物館編
柿澤 香穂氏 「白隠慧鶴筆「大日如来図」に関する考察―松林寺伝来「神影図」との関わりを中心に」 『美術史』第一九〇冊

第三十一回受賞者(令和二年七月授与)

受賞者 論文 発表誌
孫 愛琪氏 「明万暦劉応襲刊本『西廂記』について」 『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第六五輯
三橋 由吾氏 「神呪寺如意輪観音像の坐勢について」 『美術史研究』第五七冊

 

第三十回受賞者(令和元年六月二十三日授与)

受賞者 論文 発表誌
山田麻里亜氏 円山応挙筆「波上白骨坐禅図」に関する考察 『美術史』第一八六冊
坂本龍太氏 スルバラン作《聖ブルーノと教皇ウルバヌス二世》における円柱の象徴性 『美術史』第一八六冊
児島大輔氏 白銀の転生―銀仏の造像と銀器の転用― 「白銀の転生―銀仏の造像と銀器の転用―」(『東大寺の思想と文化(東大寺の新研究)』

 


 

第二十九回(平成三十年六月二十二日授与) 宮田悠衣氏 松本交山試論 『美術史研究』第五五冊
第二十八回(平成二十九年六月十七日授与) 兼松 藍子氏 初代豊国落款作品における国貞代筆の可能性について 『美術史研究』第五四冊
易 丹韻氏 ショルチョク石窟第一窟の法界仏像についての再考察 『美術史研究』第五四冊
武田 一文氏 「聖母の眠り」図から見る聖堂装飾プログラム
―パナギア・マヴリオティッサ修道院(ギリシア)を一例として―
益田朋幸編『聖堂の小宇宙』(ヨーロッパ中世美術論集 四)竹林舎、2016年
第二十七回(平成二十八年六月十八日授与) 田中 麻帆氏 ディヴィッド・ホックニーの「逆遠近法」再考―一九七〇~八〇年代の日本美術受容に着目して― 『美学』第二四六号
長岡 枝里氏 池部政次コレクションと陸㬙筆《双松図》について―『石渠寶笈』文物の可能性― 『早稲田大学會津八一記念博物館研究紀要』第一七号
第二十六回(平成二十七年六月二十日授与) 舘野 まりみ氏 出光美術館蔵「桜下弾弦図」をめぐるいくつかの問題 松本郁代・出光佐千子・彬子女王編『風俗絵画の文化学III―瞬時をうつすフィロソフィー―』思文閣出版、2014年
森 美智代氏 隋開皇四年銘天龍山石窟第八窟の意義 新川登亀男編『仏教文明と世俗秩序―国家・社会・聖地の形成―』勉誠出版、2015年
土山 陽子氏 Photography and Narrative: The Representation of the Atomic Bomb in Photographs of Nagasaki from 1945 to 1995 『Narratologia』42
第二十五回(平成二十六年六月二十一日授与) 内田 洸氏 洋風画家安田雷洲の画業再考―住居・作品の原図・蘭学ネットワークと海防思想をめぐって― 『美術史』第一七五冊
佐野 勝也氏 藤田嗣治の舞台美術作品一九五一年スカラ座『蝶々夫人』に関する一考察 『美術史』第一七五冊
大島 幸代氏 四川省楽山市凌雲寺大仏の造営と左右龕の毘沙門天像について 『てらゆきめぐれ 大橋一章博士古稀記念美術史論集』中央公論美術出版、2013年
第二十四回
(平成二十五年六月二十二日授与)
新江 京子氏 伊藤若冲の歌仙絵を読み解く 『美術史研究』第五十冊
徳泉 さち氏 石碑の意匠「穿」について 氣賀澤保規編『中国中世仏教石刻の研究』勉誠出版、2013年
桝田 倫広氏 うわさのベーコン―日本におけるフランシス・ベーコン受容の歴史のためのノート 東京国立近代美術館他編『フランシス・ベーコン展』日本経済新聞社、2013年
第二十三回
(平成二十四年六月二十三日授与)
久保 佐知恵氏 春木南華研究序説―幕末を生きた町絵師の憂愁 『民族藝術』二八号
三宮 千佳氏 阿弥陀堂と寝殿造 『奈良美術研究』第一三号
辻 絵理子氏 ストゥディオス修道院写本工房のペリカン図像 『美術史』第一七一冊
第二十二回
(平成二十三年六月二十五日授与)
谷川 ゆき氏 土佐光信筆小絵「高野雲」試論 『美術史』第一六八冊
小野 英二氏 阿弥陀仏五十菩薩図像の成立と展開について 『美術史研究』第四八冊
豊田 唯氏 ミゲル・マニャーラの死の哲学と聖堂装飾
―『真理の論考』の再解釈を通して―
『早稲田大学大学院文学研究科紀要』
第五六輯第三分冊
第二十一回
(平成二十二年六月二十六日授与)
鯨井 清隆氏 加藤信清筆『五百羅漢図』及び『神農図』の筆順に関する考察 『美術史研究』第四七冊
真田 尊光氏 『東大寺要録』所収「戒和上次第」について―初代から十八代までを中心として― 『日本佛敎學會年報』第七四號『戒律と倫理』
関 直子氏 美術館からの距離 マティスのヴァンスでの試み 『西洋美術研究』第一五号
第二十回
(平成二十一年六月二十七日授与)
友田 真理氏 胡漢交戦図の分布とその歴史的背景
―漢代画像石を中心として―
『中国考古学』第八号
毛塚 実江子氏 レオンの『九六〇年聖書』写本の対観表装飾
―福音書記者像表現を巡って―
『美術史』第一六五冊
第十九回
(平成二十年六月十八日授与)
王 凱氏 郎世寧の皇帝狩猟図をめぐって 『國華』』第一三三八号
後藤 怜氏 四天王寺における聖徳太子絵伝の制作について 『美術史研究』第四五冊
櫻井 夕里子氏 中期ビザンティン時代における
「コンスタンティヌスとヘレナ」図像に関する一考察
『美術史』第一六三号
第十八回
(平成十九年六月三十日授与)
杉本 欣久氏 池大雅の作画と文人性 『黒川古文化研究所紀要 古文化研究』第五号
中安 真理氏 傳鈔本『日本國見在書目録』の系統について 『日本中國學會報』第五八号
尾崎 有紀子氏 ガリバルディの図像―その形成と伝播 『比較文学年誌』第四三号
第十七回
(平成十八年六月二十四日授与)
阿部 朋絵氏 室町時代における『梅花寿老図』のイメージ世界―太平の春と寿老人― 『美術史』第一五九冊
小林 裕子氏 興福寺の草創を語る史料について 『美術史研究』第四三冊
瀧井 直子氏 藤 雅三の仕事―アメリカでの活動を中心に― 『近代画説』十四号
第十六回
(平成十七年六月十八日授与)
竹内 奈美子氏 江戸時代前期五十嵐派作品について―前田家関連遺品を中心に 『東京国立博物館紀要』第四十号
下野 玲子氏 敦煌莫高窟第二一七窟南壁経変の新解釈 『美術史』第一五七冊
平泉 千枝氏 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール作≪大工の聖ヨセフ≫
―サンダルを履いた聖ヨセフをめぐる一考察―
『美術史』第一五七冊
第十五回
(平成十六年六月十二日授与)
四宮 美帆子氏 山田道安再考 『國華』第百九編第三冊 第千二百九十六号
濱田 瑞美氏 敦煌莫高窟の白衣仏について 『佛教藝術』二六七号
真野 宏子氏 ヴァシリー・カンディンスキーとアンリ・ル・フォーコニエ 『國學院雜誌』第一〇四巻第十号
通巻一一五八号
第十四回
(平成十五年六月二十八日授与)
陳 達明氏 雪村周継筆『竹林七賢図』の画題をめぐって 『早稲田大学大学院文学研究科紀要』
第四八輯 第三分冊
楢山 満照氏 四川製作の後漢元興元年銘鏡について 『美術史研究』第四十冊
河田 明久氏 日本人の肉体と『正しい身体』 『現代思想』第三十巻第九号
第十三回
(平成十四年六月十五日授与)
小野 佳代氏 興福寺南円堂の性格について―八角円堂の起源をふまえて― 『美術史研究』第三九冊
福田 道宏氏 近世後期『春日絵所』考―天保五年、原在照への『絵所』職株譲渡をめぐって― 『美術史研究』第三九冊
河上 眞理氏 プロスペロ・フェッレッティ研究―インド、日本、そしてイタリア― 『近代画説』十号
第十二回
(平成十三年六月十六日授与)
吉田 さち子氏 団扇形考 『美術史研究』第三八冊
森下 和貴子氏 木心乾漆像の出現と漆 『佛教藝術』二五五号
清水 玲子氏 高橋由一≪花魁図≫と兵庫下髪 『近代画説』九号
第十一回
(平成十二年六月十七日授与)
杉本 優氏 尾張名古屋における書画会について 『美術史研究』第三六冊
中野 聰氏 霊験仏としての大安寺釈迦如来像 『佛教藝術』二四九号
松原 典子氏 エル・グレコ作<ラオコーン>再考 『鹿島美術研究』第十六号別冊
第十回
(平成十一年六月十九日授与)
杉原 篤子氏 [かざり]調度としての『誰が袖屏風』 佐々木剛三先生古稀記念論文集
『日本美術襍稿』
金子 典正氏 唐招提寺所蔵『金亀舎利塔』について―亀が舎利塔を背負う形状の由来 吉村怜博士古稀記念会編
『東洋美術史論叢』
児嶋 由枝氏 Appunti sul “Calice di San Donnino” 聖ドンニーノのカリスをめぐって Annali della Scuola normale speriore di Pisa,
S. IV, Q. 1-2, 1998
第九回
(平成十年六月二十日授与)
常國 マヤ氏 音調・秩序・調和―クリュニー第三聖堂内陣柱頭の主題について― 『美術史研究』第三五冊
鈴木 忍氏 牧谿筆『観音猿鶴図』の主題について 『早稲田大学大学院文学研究科紀要』
第四三輯 第三分冊
大西 磨希子氏 蓮華三昧院所蔵阿弥陀三尊像の主題と明遍の思想 『南都佛教』第七四・七五合併号
第八回
(平成九年六月十五日授与)
林 南壽氏 『朝野群載』所収の『広隆寺縁起』について 『早稲田大学大学院文学研究科紀要』
第四二輯 第三分冊
瀧口 美香氏 The Feast Cycle in the Illustrations in Codex Vaticanus Graecus 333 『早稲田大学大学院文学研究科紀要』
第四二輯 第三分冊
第七回
(平成八年六月十五日授与)
岡戸 敏幸氏 『影絵』の十九世紀―人は『影』に何を見てきたか― サントリー美術館『「影絵」の十九世紀』
片岡 直樹氏 長谷寺銅板法華説相図再考―大山誠一氏に答えて― 『佛教藝術』二二五号
宮下 誠氏 対話する眼差し―パウル・クレーの作品における空所と観者― 『美學』国際版第七号
第六回
(平成七年七月八日授与)
江川 佳秀氏 靉光とその周辺 徳島県立近代美術館
『特別展靉光・揺れ動く時代の痕跡』
井上 豪氏 正倉院宝物『御軾』の起源とその用法 『佛教藝術』二一五号
高橋 朋子氏 画家・パトロン・戦争―≪テンペスタ≫とティツィアーノの『戦争画』― 『美學』第一七八号
第五回
(平成六年六月二十五日授与)
塚原 晃氏 社寺奉納洋風風景図における司馬江漢の製作意図 『美術史』第一三五号
川瀬 由照氏 東大寺法華堂の造営と不空羂索観音像の造立について 『佛教藝術』二一〇号
長田 年弘氏 ヘレニズム時代の浮彫りフリーズの様式発展(独文) ペーター・ランク社(フランクフルト)
第四回
(平成五年七月三日授与)
内田 啓一氏 紙形に関する一考察 『MUSEUM』四九一号
杉原 たく哉氏 狩野山雪筆歴聖大儒像について 『美術史研究』第三〇冊
亀崎 勝氏 フィレンツェ洗礼堂の『天国の扉』に見られるアンブロージョ・ロレンツェッティの影響
―ギベルティの中のアンブロージョ・ロレンツェッティ―
早稲田大学大学院文学研究科紀要
別冊十九集文学・芸術学編
第三回
(平成四年六月二十日授与)
松原 智美氏 真言院十二天画像小考
―金沢文庫保管『寛信法務後七日法記』の紹介を兼ねて―
『金沢文庫研究』第二八八号
齋藤 理恵子氏 仏塔相輪の装飾意匠―いわゆる宝珠を中心として― 早稲田大学大学院文学研究科紀要
別冊十八集文学・芸術学編
益田 朋幸氏 ディオニシウ・レクショナリーの受難週挿絵における典礼的性格 早稲田大学大学院文学研究科紀要
別冊十八集文学・芸術学編
第二回
(平成三年六月十五日授与)
山本 陽子氏 粉河寺童男行者信仰小考
―フリア美術館蔵伝聖徳太子修業像を中心に―
『美術史研究』第二八冊
高瀬 多聞氏 文殊五尊図像に関するいくつかの問題 『美術史研究』第二八冊
小林 一枝氏 『カリーラとディムナ』写本挿絵の形成と伝播
―東西美術における動物寓話図像研究序―
『美術史』第一三〇冊
第一回
(平成二年六月十六日授与)
高橋 宗一氏 北魏墓誌石に描かれた鳳凰・鬼神の化成 『美術史研究』第二七冊