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卒業生の声 Vol.2
【広告代理店】
塩田 壮史

Soushi Shiota

僕が取り組んだ卒論のタイトルは、
『ファッションとアイデンティティの関係』
仏文は文学や語学だけではありません。

 

──仏文とは思えない卒業論文のテーマですが?
仏文と呼ばれているせいか、フランス文学やフランス語しか学べないと思われがちですが、もっと学べることは幅広く、自由で、僕のように文化という側面にスポットを当て、ファッションやデザインで卒論を書くこともできます。仏文の先生方は、基本的に論文は何を書いてもいいというスタイルです。

 

──なぜファションについて書いたのですか?
テーマとしては、デザインについて書きたいと思いました。これまでの一般的なデザインの受け取り方とは違う僕なりの考え方を展開する上でココ・シャネルをはじめとするファッションデザイナーが深く関わっているため、フランスと関わりの深いファッションについて書くことにしたのです。テーマや内容について、これを書いてダメだ、ここを直せと先生に否定された記憶はまったくありません。

 

──卒業論文を担当された先生はどなたですか?
倉方先生に担当していただいたのですが、卒論の授業を受ける前はものすごく怖いとの評判で、正直不安だったのですが、いざ授業を受けてみると怖いどころかむしろ優しいと感じるくらい素晴らしい先生でした。僕の卒論にも理解を示してくださり、的確なアドバイスをいただきました。また他の先生方もとても優しく、仏文のなかでけっして模範生でなかった僕にとってはまるで神様のようでした(笑)。

 

imgParoles0201──なぜ神様のように感じたのですか?
1年生の時にフランス語を履修していたというだけで、何となく成り行きで仏文に進んでしまった僕はフランス語が苦手で、最初は授業についていけず、仏文を選んだことを後悔したこともありました。でもありがたいことに先生方は、そんな僕でさえ卒業までしっかりとサポートしてくださいました。だから神様のように感じたんです。

 

──今も仏文に進んだことを後悔していますか?
いいえ。後悔するどころか、仏文にいたからこそ自分が書きたかった卒論が書けた、仏文でよかったと感じています。卒論で書いたデザインというテーマと深く関わる広告代理店に就職ができ、今はアイデアの力で生活者を楽しませたり、ワクワクさせ、幸せにしたいと思って働いています。広告業界で「コミュニケーションデザインというものを学びつつ、ゆくゆくは世の中をデザイン出来るような人間になれればと思っています。その僕の原点が仏文で書いた卒論なんです。

 

──仏文だったことで就職に影響はありましたか?
広告代理店を希望していた僕にとって不利に働いたことは何もありません。実際に就職した広告代理店以外にも内定をいただいた所もありました。得をしたことと言えば、面接官に「フランス語しゃべれるんだね」と聞かれたこと。「はい、少しは……」と答えました。英語は普通ですがフランス語は珍しいのでアピールになったような気がします。

 

──後輩たちへのアドバイスはありますか?
1年生にとって語学系のコースは進みづらいと感じることがあるかもしれません。特に語学が苦手ならあまり気乗りがしないかもしれない。でもそれだけで候補から外してしまうのはあまりにもったいない。語学や文学をやるだけでなく、僕のように文化の側面からフランスを捉えてみることもできます。2年生の時にせっかく仏文に進んだのだからとパリに行きました。海外は初めてで楽しく、しかもパリコレのシーズンで街が活気づいていて、これがファッションの都なんだと感じとることが出来ました。もしかするとそれが卒論のテーマに繋がったのかもしれません。フランスに関わることに興味があるならそれを理由に仏文を選ぶことで具体的にやりたいことが見つかるかもしれない。「語学や文学をやらなくては」という先入観で避けるコースではないと思います。