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卒業生の声 Vol.11
【出版社】
川村 由莉子

Kawamura Yuriko

コース室にいると楽しいからと
ノリで選んだ仏文が、
私の大切な居場所になりました。

 

──なぜ仏文コースを選んだのですか?
心理学をやろうと早稲田に入ったのですが、臨床にはかなわないし、文学部で学ぶ心理学は微妙な立ち位置にあると気づき、なんか違うと感じてしまったんです。ちょうどその頃、担当のフランス語の先生が私の小中高の先輩だったこともあり、仏文のコース室によく遊びに来ていました。雰囲気もいいし、先生方とざっくばらんに楽しくいろいろな話をできるし、せっかくだから仏文にするか!なんていうノリで決めました。

 

──ノリで仏文コースを選んでどうでしたか?
教授たちが面白すぎて、ドはまりしました(笑)。同級生の友だちと話すより話が尽きることなく、いつまでもしゃべっていられる。それがすごく楽しく、もっと先生と話がしたくて、もっと学ぼうと意欲が湧いてくるんです。私はフランス文化に詳しくなかったので授業についていくのも大変でした。だからどんどん質問をぶつけるし、研究室にも押しかけました。でも迷惑そうにするどころか、一対一で何時間も教えてくれたんです。

 

──大学教授に個人授業は贅沢ですね?
そうなんです! おかげで教授への興味がどんどん広がり、就職を出版社に決めたのも、学者と仕事がしたいというのが志望動機になっているんです。仏文の先生は、女の子にとても優しく、一見シャイなのに戸をたたくとパッと心を開いてくれるんです。そんな先生と出会えて本当によかった!もし何も考えずにあのまま心理に進んでいたら、今頃どうなっていたのかと思います。ノリで選んだ仏文が、私の大切な居場所になりました。

 

──出版社への就職活動で仏文は有利でしたか?
もちろん運もありますが、私の場合、仏文だったことはとても有利でした。ある雑誌の編集長が面接官だったのですが、私が仏文だということを踏まえて、映画だったり、文学だったり、フランスに関する話を中心に、何が好きか、どうして好きなのか、と話を掘り下げるように面接をしてくれたんです。私にとってはいつも教授としている雑談のような感じで、まったくあがることなく楽しく話ができました。私が仏文でなければ、こうはいかなったと思います。

 

imgParoles1001──卒論は何をテーマに書いたのですか?
映画監督ジャン・リュック・ゴダールの映画について卒論を書きました。1950年代から現在までとても多くの作品を撮っている監督ですが、私は特に興味深い60年代にしぼり、その当時の作品の中でゴダールが引用している文学作品について考察しました。文学作品の引用がその映画のなかでどのような効果を上げているかを書きました。

 

──コース選びで迷っている後輩にアドバイスは?
もし好きなこと、やりたいことがあるなら、それがどこのコースなら実現できるかを最初にじっくり考えた方が良いと思います。私は、結果ノリでコースを選びましたが、その前にやろうと思っていた心理学がこの文学部で本当にできるかどうか考えました。あの時きちんと考えたことが今に繋がっています。あまり深く考えずにコースを選び、後で間違ったと後悔しないようにして欲しいと思います。

 

──仏文を選ぼうという後輩へのアドバイスは?
どの学科より先生は親しみやすいし、仏文の雰囲気はとにかくアットホーム。だからそこはまったく心配しなくて大丈夫。私のようにそれまでフランスについて詳しくなくても先生方が力を貸してくれるし、選ぶ研究テーマについても柔軟で、前向きに取り組めば惜しみなく知識を与えてくれます。ただ楽しく遊んで大学生活を送りたいと思っているなら、仏文は向かないかもしれません。文化教養を好きな子が多いので、そこに興味がないと同級生となじむのに苦労するかもしれませんよ。