卒業生の声 Vol.22
【出版社】松崎 りか
Matuzaki Rika
体調が悪く教室にいられない私を
仏文が受け入れてくれたから
心が折れずに成長できました。
──なぜ仏文に決めたのですか?
入学した頃は、ジェンダーに興味があり、社会学コースでセクシュアリティ学を学ぼうと考えていたのですが、体調をくずしてしまい、人気の社会学コースでバリバリやっていく自信がなく、あきらめました。母がワイン関係の仕事をしていたからという軽い気持ちで第二外国語にフランス語をとっていたのですが、その頃たまたまバタイユの本を読み、フランス文学ってけっこう面白い、私と相性がよいかもしれないと思い、仏文に決めました。
──仏文を選んでよかったと思いますか?
2年生の頃は、まわりのみんなが「フランス文学を学ぼう」「フランスに留学する」と高い志を思っているように感じて、自分は大丈夫なのかと不安でしたが、年次が進むにつれて意識が変わりました。どんな学生でも好きな学問が見つけられて、好きなことを勉強できる、そんな懐の深さこそ、仏文の魅力だと気づいたんです。先生たちもすごく好きだし、授業も好きなものが多かったし、今は心から仏文を選んで良かったと思っています。
──仏文では何を研究されたのですか?
もともと「性」に興味があったのですが、それは最後まで変わりませんでした。フランス文学には、セクシュアリティに関して扱っている文学も多く、その中でもマルキ・ド・サドの価値観に惹かれ、一番好きだった『恋の罪』という作品を卒論のテーマに選びました。美徳と悪徳という二項対立があり、悪徳が勝利すると言われることが多いのですが、私は拮抗し合っているアンビバレントな表現が多いことに注目して論文を書きました。
──他にはない仏文の魅力はなんですか?
フランス文学以外にも社会問題に興味があり、日本とは違って多様性を認めているサンフランシスコに実際に住んで体験してみたくて、4年生の時、アメリカに留学したんです。「仏文なのにアメリカ!」と驚かれますが、先生たちはどうぞご自由にという感じで送り出してくれ、帰って来た時も当たり前のように迎えてくれました。行くも去るも自由。学生が本当にやりたいことをさせてくれる大学の本質みたいなものをもっていると思います。
──仏文にいたことは就活に役立ちましたか?
就活には自信が重要だと思っています。自分なりに納得して、他人を説得できないと面接には受かりません。私の場合、自分のやりたいことに自信があると相手に伝わったから就活がうまくいったのだと思います。もし体調が悪く授業に出られなかった時、先生たちが「別にいいじゃない」と受け入れてくれなかったら、自信をもって成長することは難しかったと思います。言葉に関わる仕事がしたかったので、出版社で働くのが楽しみです。
──これからコースを選ぶ後輩へのアドバイスは?
興味の幅の広い人には、仏文がいいと思います。私みたいに、ジェンダーに興味があるけれど、文学も好き、社会問題も考えたいというように、あれもこれもやってみたいと欲ばるなら、いろんな方向のことを自由に勉強できる仏文がおすすめです。ただお互い干渉せず、ほっておいてくれるので、それが心地いいという人にはいいけれど、勝手に友達ができると思わない方がいい。友達を作りたいなら自分から入っていくことをおすすめします。