卒業生の声 Vol.23
【大学院修士】高崎 晃次
Takasaki Koji
第二外国語がフランス語で
やりたいことが決まっていないなら
“とりあえず仏文”はアリです。
──なぜ仏文に決めたのですか?
早稲田の文学部を受けたのも、英米文学コースに行きたかったからなんです。でも第二外国語でフランス語をやってみると楽しく、モノにしたいと思ったんです。仏文の鈴木先生と仲良くさせていただいて、いろいろ話しているうちにフランス文学に興味が湧いてきて、フランス文学を1冊ずつ毎週読んでいく授業を受けるなかで、どんどんのめり込んでいき、悩んだのですが、結果として英文ではなく仏文に行こうと決めました。
──フランス文学を選んでよかったと思いますか?
英米文学で好きだったのはサローヤンとかマラマッドという作家のアメリカ移民系の作品で、近づき寄り添ってくれて一緒に入り込むことが楽しく、心地よかったんです。ところがフランス文学は近寄ってこないどころか、こちらから近寄ってもはじき返される断絶みたいなものがあり、こうなるとどうすれば理解できるのか、自分の頭でどんどん考えなくてはいけなくなる。それが高校まで理系だった僕には合っていたのだと思います。
──仏文コースを選んで良かったと思いますか?
今、僕は27歳なんです。体が弱かったこともあり、小中高では学校に通えなかった時期もありました。高校を卒業する時は、勉強したいことがないからと大学を受けず、大学に行こうと思ったのが22歳。そんな僕にとっても仏文は居心地が良かった。仏文の先生は、一人でいたい時はじっと見守ってくれるし、何か話したい時はすごく話してくれる。4年間頑張って来られたのは、この居心地の良さがあったからだと思います。
──何について卒論を書いたのですか?
アラン・ロブ=グリエという作家の『嫉妬』という作品について研究しました。1年生の時の毎週1冊読む授業で、一目惚れしちゃったんです。反復をテーマにしている作家で、同じ描写がずっと続いていたり、繰り返されたり、一回読んでまず面食らう。でも何回も読めば読むほど分かってくる。だから1年生で読んだ時に卒論にすると決め、2年生、3年生で資料を集め、最終的には従来的な解釈とは違ったアプローチを試みました。
──大学院への進学を選んだのはなぜですか?
大学に入る前から大学院に行くと決めていました。22歳の時に大学に行って文学を学ぶと決め、入学したのが23歳。同級生はちょうど就職する年齢です。自分も働くという選択もできるのに、あえてそれを選ばずに進学するのなら、学びたいと思った文学をトコトンやりたいところまで極めると決めたんです。早稲田ではなく、東大の大学院に進みますが、受験する時は相談にのってくれ、僕の選択を尊重してくれました。
──これからコースを選ぶ後輩へのアドバイスは?
いろいろな授業に出てみるのが良いと思います。勉強したいことが決まっていることは少なく、授業を受けたことで僕のように方向転換をする人もいるはずだし、好きなことが見つかればそこに行けばいい。それでも決まらなかったら「とりあえず仏文」もアリだと思います。美術、映画、音楽、アニメ、食、ファッション、幅広いことが扱えるし、2年3年でやりたいことが見つかったら、フランスと絡めればダメと言われることはありませんよ。