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卒業生の声 Vol.10
【大学院修士】
藤坂 龍之介

Fujisaka Ryunosuke

どんなにニッチな研究テーマでも
自分の好きなことが勉強でき、
それをサポートしてくれるのが仏文です。

 

──なぜ仏文コースを選んだのですか?
高校から学校でドイツ語をやっていたので、もともとヨーロッパ全般に興味があり、大学ではその共通言語であったラテン語を学ぼうと考えていました。だから最初はヨーロッパについて包括的に学べる西洋史を選ぼうと思っていたんです。ところが2年生でのコース進学の前、いろいろなコースを見学させてもらっている時に、たまたま仏文のコース室で川瀬先生と出会い話したことが、コース選択を仏文に変えるきっかけになりました。

 

──川瀬先生とどんなことを話したのですか?
実は僕が本当にやりたかったのは、ヨーロッパの隠秘哲学についてだったんです。でもそんなニッチな学問を大学でできるとは思っていなくて、当然無理と言われると思いつつ、なにげなく「仏文でそういう学問ができるんですか?」って聞いたんです。すると川瀬先生は軽く「出来るよ」って仰って、正直驚きました。でもそのおかげで仏文に気持ちは大きく傾き、考えてみれば19世紀末のフランス文学は、僕のために生まれたのではないかと思うほど好みの作家が多かったので、仏文に決めました。

 

──仏文に進んでよかったですか?
はい、よかったと思っています。フランス語を基礎としてちゃんとやる必要があり、結果ラテン語とフランス語の両方ができました。そして何より、あの時川瀬先生が仰ったとおりに、自分の好きな、自分のやりたい勉強を、自分のやりたいように、自分のペースでゆっくりできたことがよかったですね。それが許されているのが仏文の魅力だし、一人一人のやりたいことを先生方がしっかりサポートしてくれます。僕が4年でフランスに留学した時もどこにすればいいか、いろいろ助けていただきました。

 

─フランスのどこに留学したのですか?
フランスの南にあるトゥールーズ第2大学に1年間、交換留学生として行きました。フランスそのものをきちんと勉強したいと思ったし、同じ分野を勉強するにしても日本人という視点だけでなく現地の人と同じ視点で学んでみたかったんです。ヨーロッパではその国の特徴は都会ではなく地方にこそ顕著にでていると思っていたので、パリではなくトゥールーズを選びました。

 

imgParoles1001──卒論は何をテーマに書いたのですか?
卒論の題名は『未來のイヴにおける霊的状態について―近代科学と無限世界のヘルメス―』。19世紀末の作家ヴィリエ・ド・リラダン伯爵の機械人形に魂を与えるという内容の長編小説『未来のイヴ』について書きました。機械人形を科学万能主義と形而上学的存在のハイブリッドとして捉えています。「ヘルメス」とはギリシャ神話における神々の伝令役のこととその名を冠したとある隠秘哲学者のダブルミーニングで、僕の卒論では、科学を象徴とする地上世界と霊が支配する天上世界を繋ぐ、メディアとしての役目として使っています。

 

──なぜ修士に進むことを選んだのですか?
僕が卒論で書いたテーマもそうですし、そもそもやりたかったヨーロッパの隠秘哲学というのもかなりニッチな内容で、こういう研究テーマを極めるのは大学の4年間だけでは全然足りません。まだまだ体系化にはほど遠く、修士にいかなくてはならないと思いました。就職しようと思ったことはなく、修士に進むのが自分にとって自然な流れでした。

 

──仏文を選ぼうという後輩へのアドバイスは?
とにかく仏文は先生方が素晴らしい! 僕のようなかなりニッチな学問でも、学ばせてもらえることが本当に嬉しかった。それを受け入れてくれる懐があり、先生方が広範な知識でサポートしてくれる。それが仏文の魅力です。もしやりたいことが少しでもフランスに関わることなら、なんでも出来ます。やる気さえあれば、それを教授方に伝えればいい。きっと僕の時と同じように「出来るよ!」と答えてくれるはずです。