リヨンでの3週間

鈴木 麻希(フランス語フランス文学コース3年)

 

私は大学2年生の春期休業を利用し、フランスのリヨンへ短期留学に行きました。3週間という短い期間でしたが、今まで漠然とした印象しか抱けなかったフランスという国で実際に生活し体験したことは、私にとって大変貴重なものとなりました。

SuzukiMakiLyonパリから国内便で1時間のところにあるリヨンは、古くから絹織物などで栄えた街です。1988年には、中世から残る旧市街地(Vieux-Lyon)が世界遺産に登録されています。紀元前のローマ植民地時代の遺跡も点在しており、歴史が感じられる街です。「星の王子さま」の作者サン=テグジュペリの生地としても知られています。観光客は比較的少なく治安も安定していたため、落ち着いて快適に過ごすことができました。

私が通ったのはLyon Bleu Internationalという語学学校です。建物の一階部分のみという小さな学校でしたが、設備は整っておりスタッフは気さくな方ばかりでした。授業は文法、語彙、聞き取り、作文、会話などバランスよく、かつ日々変化に富む内容でした。10人前後という少人数で構成されるクラスは、韓国、ノルウェー、スイス、ドイツ、イタリア、スペインなど国際色豊かで、フランス語の授業を受けながら絶えず様々な異文化に触れたことは非常に刺激的でした。放課後には市街散策やシネマクラブなどのエクスカーションが設けられており、任意参加ですがほとんどが無料のため気軽に参加できました。特にスタッフの案内つきの市街散策は豆知識なども聞けて面白かったです。

SuzukiMakiRue滞在形式として私はホームステイを選びました。ムッシュとマダム、息子さんのもとで、私以外にも韓国人とスイス人の学生が同様にステイしていました。日本では机上の勉強が大半でしたが、ホームステイでは生活そのものが学びの場です。朝の挨拶から何気ないおしゃべり、家族がそろう夕食時など、あらゆる場面が私にとって日々勉強でした。食卓ではそれぞれの国の話になることが多く、日本人として話をしたことは自分の国を客観視するきっかけとなりました。また私は日課として、フランス語で記録ノートをつけていました。今日の授業はどうだったか、放課後はどこに行き何を感じたか、夕食ではどんな話をしたのか、また会話で出てこなかった単語など、あらゆることを書き留めていました。授業以外にもステイ先でこのように有意義に過ごせたことに関して、ホストファミリーの存在はとても大きかったと思います。

 

語学留学の目的はもちろん語学力の向上ですが、それだけではありません。私にとってこの留学で最も印象的だったものの一つは、「フランスで生活したこと」です。フランスで寝起きをし、空気を吸い、食事をし、勉強するなかで、フランスに対する新しい印象が毎日少しずつ蓄積されました。また帰国後、勉強をはじめ様々なものに対する姿勢も変わりました。SuzukiMakiPortrait3週間はあっという間です。しかしこの期間設定は、一日一日を濃いものにしようとするきっかけを与えてくれました。そしてその中で、何事も自分の行動力と決断力次第だということを改めて実感しました。短期留学とはいえそこには楽しさと同じだけ、またはそれ以上に不安やもどかしさ、悔しさなどが伴います。ですが、大学生という時期に得るこのような経験は、帰国後の大学生活だけでなく、その後の人生の大きな糧にもなります。今回の短期留学を通して、日本の外に出て学ぶことは思っている以上に素晴らしく、意味のある経験であると実感しました。