卒業生の声 Vol.18
【映画配給会社】賢賀 由紀
Kenga Yuki
早稲田という大きな大学の中で
いつでも迎え入れてくれる“居場所”、
それが私にとっての仏文でした。
──最初から仏文に進むと決めていましたか?
入学前はなんとなく心理学か社会学かなぁと思っていました。でも大学生活が始まると、自分の思い描いていたものと違うことに気づいたんです。学問をするために大学に入ったのに、学問をしている手応えをまったく感じない。まわりは授業をさぼっていかに単位を取るか、そればっかり。何か嫌だな、何か違うと感じたから、知らないことを知り、私が勉強をしていると実感できるコースを探し始めたんです。そして仏文と出会いました。
──どうやって仏文を選んだのですか?
まず心理学と社会学ですが、大多数が就職に役立つから選ぶという流れがあったので、そういうコースには行きたくないと最初に消えました。人数が多いコースだと私はその中に埋もれてしまい、何をやっているか分からないまま卒業してしまいそうだから、人数の少ないコースにしようと決めました。教育学、演劇映像などを検討した後、第二外国語がフランス語だったからとなにげなく参加した仏文のガイダンスで、ここにすると決めたんです。
──仏文に決めた要因は何ですか?
そのガイダンスに来てくれた仏文の4年生の3人です。ひとりは、仏文でワインに興味を持ち、在学中にワイン留学をしてソムリエの資格を取り、ワインの商社に就職した女性。そして、フランス留学中にインターンシップとしてパリのジャパンエキスポで働き、広告代理店に就職した男性。もうひとりは、自分は留学をしたことはないけれど仏文でしっかり勉強したと誇らしげに話してくれた女性。こんなに個性の違う人たちを受け入れる仏文の空気に魅力を感じたんです。
──仏文はあなたの期待どおりでしたか?
思った以上に、居心地が良かったですね。学生が少ないから先生がひとりひとりを見守り、いつも気にかけてくれます。私が同志社大学に国内留学をした時も応援してくれたし、半年後に戻った時には「お帰り、京都はどうだった?」と温かく迎えてくれました。卒論ではオディロン・ルドンという画家の色彩の変容について書きました。本来なら美術史のテーマですが、先生は惜しみなく最大のサポートをしてくれたんです。心から仏文でよかったと思っています。
──卒論は絵画なのに就職は映画配給会社?
実はフランス語が苦手で劣等感を持っていました。だから語学以外で、自分だけの何かを見つけたいと、映画を見始めたんです。仏文だからフランス映画を選び、ゴダールを観たのですが、まったく意味が分からない。悔しくて片っ端から観ていき、結局全作品を観て、3年の後期には瀬戸先生の授業でプレゼンテーションまでしたんです。この経験から、映画を観る楽しさを知り、就職先に映画配給会社を選びました。
──仏文だったことは就職の役に立ちましたか?
映画配給会社の採用人数は少なく、今年も15人位でした。そこに選ばれるには、人と違う個性や魅力をアピールすることが必要です。私にとって、ひとりひとりの個性を大事にしながら伸ばしてくれた仏文という環境にいたことは、とても大きかったと思います。フランス表象文化について勉強してきたと胸をはって、自信をもって話せたことがきっと採用に繋がったのだと思います。
──仏文を選ぼうという後輩へのアドバイスは?
早稲田大学はとても大きな大学だから、時々自分がどこに所属しているのかわからなくなることがあると思います。そういう時、仏文というどっしりといつでも迎え入れてくれる“居場所”があることはすごくありがたいはずです。ひとりで行動してもいいし、気の合う仲間とグループで楽しむことも自由。だから誰もが仏文を居心地が良いと感じるのだと思います。